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愉話§一日一句~読み散らかして~ [俳句]

季語は・・・秋の夜

読みさしが 徐々に積まれて 秋の夜

【去年の今日】馳話§旅館の食事を考える
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仇話§木挽町のあだ討ち [小説]

2023年上期の直木賞受賞作であり永井紗耶子『木挽町のあだ討ち』を読了。

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文学賞受賞作品だからいつも読むというわけではないが、江戸の芝居小屋を舞台にしたというところに興味を惹かれ、迷うことなく手に取った。

二日ほどで読了したが、芝居小屋とそこに生きる人と“あだ討ち”を果たそうと奔走する若い侍の交流が描かれている。

本編は、あだ討ちから2年後に一人の侍が芝居小屋を訪れて、あだ討ちの経緯を芝居小屋の人たち一人一人に語らせるという……一人に聞いては次の人へと、さしづめ『港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ』というところか。

とにかく人物描写に一日の長があると感じた。芝居小屋の人たちの暮らしが手に取るように浮かび上がってきた。そして“聞き取り”重ねるうち、ある違和感が……

……実は、最終章に差しかかるあたりで結末らしきものは見えるようになってしまった。そのあたり、作者が意図して匂わせていこうとしていたのか。あるいは、そのあたりの詰めについては、もう一工夫必要だったかもしれない。じゃあどうしたらと急に言われても困るのであるが。

そうは言っても読後感はすっきり爽やかで、良質な小説を読ませてもらったのは言うまでもない。

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播話§秀山祭九月大歌舞伎夜の部~車引~ [歌舞伎]

暑さが戻った日曜日の午後、秀山祭九月大歌舞伎夜の部を観てきた。吉右衛門没して、早いもので三回忌である。

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一本目の菅原伝授手習鑑『車引』が秀逸な出来。又五郎の松王丸、歌昇の梅王丸、種之助の桜丸と、一家親子兄弟の顔合わせ。

又五郎以下、小柄な一家だが、小柄を感じさせない歌昇の梅王丸が大きい。所作、台詞の荒々しさ、荒事がみちり詰まっていたようだ。又五郎の松王は重しとして無難な印象。種之助の桜丸は少々引っ込み気味と感じられたが、もう一歩前に出るつもりでいればいいのに。歌六の時平、鷹之資の杉王丸、吉二郎の金棒引藤内。

二本目に菊之助、丑之助親子で『連獅子』が……このところ、勘九郎&勘太郎親子あたりから、松緑&左近親子などなど『連獅子』の連打で、またかと思いつつの舞台。ざっと調べてみるとどうやら“最年少”9歳の子獅子で、同じ9歳で勘太郎が務めたが、公演中に10歳となった。ゆえに10歳までまだ2か月の丑之助が最年少となった。

菊之助の親獅子は、彼らしく丁寧な踊りだったが、親獅子という存在は、切れ切れにしか眼がいかず、客の焦点が子獅子に向くのはしかたがない。丑之助はさすがに小柄と感じられ、年齢と相まって“安全運転”で務めていた。毛振りの回数も少なめで無理をしない安全運転。間狂言は種之助の僧蓮念と彦三郎の僧遍念。

最後三本目に長谷川伸の『一本刀土俵入』が、幸四郎の駒形茂兵衛である。これまで観る機会がないままここまで来てしまった。

茂兵衛がお蔦(雀右衛門)に、四股名の由来を語るところで「上州の勢多郡は上広瀬川の駒形生まれ」と出てきた瞬間“ああ、グンマー!”生まれだったのかと納得。赤城山麓、両毛線沿いの関東平野北端の光景が、一気に眼前に広がってきたのである。

……個人的事情はさておき、幸四郎の茂兵衛は“ニン”ではないだろう。前半の下っ端相撲取りでは、色々と工夫の跡が見られたが、相撲取りの役にしては線が細く、後半の渡世人で落ち着きを取り戻したけれど、どこか居心地の悪さを感じたのだ。

そして雀右衛門のお蔦の性格付けが今一つ曖昧で、有り金や簪と一切合財を恵むという心情まで汲み取ることはできず。二階から三味線片手に歌ったのはお蔦の生まれ故郷の越中おわら節と聞こえたのだが……。

そういえばしきりに“横綱の土俵入り”みたいな言い方をしていたが、当時は大関が番付最高位で、横綱が番付に登場したのは1890年のことで、そのあたりはちょっと気にはなってしまった。

終演は20時10分過ぎ。電車の接続がよく、木挽町からちょうど一時間で最寄駅到着。帰宅して、ラグビワールドカップ・フランス大会の日本対チリ戦の後半を少しだけ見ることができた。42対12で初戦勝利である。

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