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沈話§4分33秒~ジョン・ケージ~ [現代音楽]

アメリカの作曲家ジョン・ケージが1952年に“作曲”した『4分33秒』という題名の作品がある。

↓ケージ生誕百年記念として出版された楽譜
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“どんな楽器でも演奏できる”とあって、ピアノ独奏からオーケストラまで“演奏”されているのだが、音のない作品で、ピアニストの中には、鍵盤の蓋を閉じて演奏を始め、蓋を開けて演奏を終える人もいるらしい。

そんな『4分33秒』がオーケストラで演奏された。10月31日にフィルハーモニーで行われたベルリンフィルの演奏会で、キリル・ペトレンコの指揮で、コンサートの最後にプログラムに追加されたのだった。



11月2日に始まるロックダウンを前にした指揮者とオーケストラの意思表示としての“演奏”は、彼らの表情を見れば理解できることだろう。今の状況を“沈黙の音”として表現してみせたのだ。これは聴きものである。

蛇足ながら演奏のテンポは“速め”で、およそ1分ほど短かいものだった。

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新話§現代音楽―マイカテゴリー― [現代音楽]

そしてマイカテゴリー・シリーズは“現代音楽”へと続く。

20世紀に入るか入らないかのあたりで、ヨーロッパを中心とした、いわゆる“クラシック音楽”の状況が混沌となってきた。遠くたどれば、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』の前奏曲冒頭の和音が端緒だったかもしれないが、その後に続く作曲家たちが影響を受けないわけはなかったのだ。

調性の破壊は、シェーンベルクの十二音技法に始まり、それ以外にも様々な試みが繰り返されてきた。

だが、個人的にはシェーンベルクの音楽は既に理解しがたい存在になっていた。ところが、我が“ゲンダイオンガク苦手”を吹き飛ばす超弩級の音楽が出現した……ストラヴィンスキーが1913年に作曲した『春の祭典』がそれである。

バレエ・リュスを主宰するセルゲイ・ディアギレフから依頼を受けて作曲されたバレエ音楽がパリの初演で凄まじい騒ぎになったことも、この曲の知名度を高めたことは想像できるが、それより何より、聴いた最初はグロテスクな音楽に顔を顰めはするけれど、二度三度と聴くにつれて、魅力に取り憑かれてしまうのだ。

とはいえ、我が現代音楽は百年以上前に作曲された『春の祭典』でとまってしまっていて、例えば日本の武満徹の音楽に対する耳は、今だに開かれてはいないのである。

もう一人、二十世紀半ばまで生きたリヒャルト・シュトラウスというミュンヘン生まれの作曲家がいるのだが、彼の話は彼のカテゴリーとして語ることにしたい。

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