別話§終活のおはなし~老け込む~ [終活]
[承前]
自分にまつわる“世界”のあれやこれやが縮小傾向にあることは事実として受け留めている。
それこそ、この先に不要不急なものを買うことは極力しない。必要だと増えていくのは老い先のためのグッズということだろうか。それは積極的な買い物というよりは受け身的な性質が強そうだ。
それが“老い先”を考えるということなのだろう……ほどなく2、3年のうちに車を手放すことにしている。もうこの10年ほどは、遠距離ドライブとは言っても、せいぜい尾瀬までの往復ぐらいで、年間1000kmがやっとである。
だから手放しても、それほど後悔することもないだろうし、そういう意味で車がなくなったからといって気落ちして老け込むということもないはずだ。
そうはいっても、何かのアクションで老け込んでしまうことも十分に考えられるから、そうなった時でも意味なく気落ちすることがないようにと今から心しておこうと思うのである。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
自分にまつわる“世界”のあれやこれやが縮小傾向にあることは事実として受け留めている。
それこそ、この先に不要不急なものを買うことは極力しない。必要だと増えていくのは老い先のためのグッズということだろうか。それは積極的な買い物というよりは受け身的な性質が強そうだ。
それが“老い先”を考えるということなのだろう……ほどなく2、3年のうちに車を手放すことにしている。もうこの10年ほどは、遠距離ドライブとは言っても、せいぜい尾瀬までの往復ぐらいで、年間1000kmがやっとである。
だから手放しても、それほど後悔することもないだろうし、そういう意味で車がなくなったからといって気落ちして老け込むということもないはずだ。
そうはいっても、何かのアクションで老け込んでしまうことも十分に考えられるから、そうなった時でも意味なく気落ちすることがないようにと今から心しておこうと思うのである。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~結局は根無し草~ [終活]
[承前]
古稀を迎えて間もなく一か月……時は待ったなしで過ぎていく。
そんな高齢者は、いよいよポンコツの度合いが進んで、あちこちボロが出てきて、医者通いも日常化して久しいものがある。内科に整形外科、歯科に大学病院とまあ……月に2回は通院しているのではなかろうか。そんな七十代のはじめである。
人生の終わりが確実に近づきつつある今の自分だが、結局は“根無し草”のまま最期を迎えそうだ。
実家の町から東京に出てきて半世紀超となり、これまで転居すること7度。まさに根無し草にふさわしい移動ではないか。そりゃあ、今住んでいるマンションは26年住み続けていて、人生の中でも最長だったりはする。
だがどうも、地域に根ざすとか地域に溶け込んでという感覚が乏しいままなのだ。確かに、ひとたびドアを閉めてしまえば、隣人との交流などほとんどゼロになってしまうし、集まるといえば年に2回ほどの草むしりだったり、何十年かに一度回ってくる管理組合の理事会会合で、理事同士が親しくなるのがせいぜいか。
そんな細切れかつ、つかず離れずのご近所付き合いが、このまま先々まで続いていって、根無し草の人生は終わりを迎えるのだろう。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
古稀を迎えて間もなく一か月……時は待ったなしで過ぎていく。
そんな高齢者は、いよいよポンコツの度合いが進んで、あちこちボロが出てきて、医者通いも日常化して久しいものがある。内科に整形外科、歯科に大学病院とまあ……月に2回は通院しているのではなかろうか。そんな七十代のはじめである。
人生の終わりが確実に近づきつつある今の自分だが、結局は“根無し草”のまま最期を迎えそうだ。
実家の町から東京に出てきて半世紀超となり、これまで転居すること7度。まさに根無し草にふさわしい移動ではないか。そりゃあ、今住んでいるマンションは26年住み続けていて、人生の中でも最長だったりはする。
だがどうも、地域に根ざすとか地域に溶け込んでという感覚が乏しいままなのだ。確かに、ひとたびドアを閉めてしまえば、隣人との交流などほとんどゼロになってしまうし、集まるといえば年に2回ほどの草むしりだったり、何十年かに一度回ってくる管理組合の理事会会合で、理事同士が親しくなるのがせいぜいか。
そんな細切れかつ、つかず離れずのご近所付き合いが、このまま先々まで続いていって、根無し草の人生は終わりを迎えるのだろう。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~古稀~ [終活]
[承前]
さて“古稀”の日となった……70年も生きてきたが、そのことについての感慨らしきものはない。
確実なことは“自分も老いた”ということである。徐々に体力が落ちてきていることは今さらながら自覚し過ぎるくらいだし、気がつけば“無理しない無理しない”というスタンスの自分がいる。
定年退職したのは9年前。70歳半ばくらいまでは、年に一度の海外旅行を楽しめるだろうと考えていたが、2020年のコロナ禍で、2019年を最後にすっぱり海外旅行とは縁がなくなった。
今は細々と国内旅行をするのがせいぜいで、大阪の花園までラグビーを観に行ったり、目下計画中なのは京都南座の顔見世を観に行こうかというくらいで、あっちこっちと動き回るような旅行ではない。
そして、古稀を迎えたところで、この先の人生は自分にとって“オマケ”というくらいのつもりで考えて、残り何年かを終活を並行させながらゆるゆる過ごしていこうと思っている。
幸いにして呑み屋にツケはない。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
さて“古稀”の日となった……70年も生きてきたが、そのことについての感慨らしきものはない。
確実なことは“自分も老いた”ということである。徐々に体力が落ちてきていることは今さらながら自覚し過ぎるくらいだし、気がつけば“無理しない無理しない”というスタンスの自分がいる。
定年退職したのは9年前。70歳半ばくらいまでは、年に一度の海外旅行を楽しめるだろうと考えていたが、2020年のコロナ禍で、2019年を最後にすっぱり海外旅行とは縁がなくなった。
今は細々と国内旅行をするのがせいぜいで、大阪の花園までラグビーを観に行ったり、目下計画中なのは京都南座の顔見世を観に行こうかというくらいで、あっちこっちと動き回るような旅行ではない。
そして、古稀を迎えたところで、この先の人生は自分にとって“オマケ”というくらいのつもりで考えて、残り何年かを終活を並行させながらゆるゆる過ごしていこうと思っている。
幸いにして呑み屋にツケはない。
[続く]
《終活のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~古稀目前~ [終活]
[承前]
月が替われば、古稀七十歳を迎える。70年も生きたのかと思う。1954年9月に生まれた。ちなみに出来事としてはこんなことがあった。我が身がこの世に生を享けた直後に起きたのが洞爺丸事故である。
80歳を超えても矍鑠としている先達がゴロゴロいる中にあって、70歳などとはまだまだ若いということなのだろうが、それは“……にしては”といった言い方が付け加わるということを自覚しなくてはならない。
誰でも生き続けていれば70歳、80歳、90歳と歳を重ねていくが、まさかそんな年齢に我が身がなるとは二十代や三十代の頃には想像などできることではなかった。もちろん、漠然と年を取っていくという疑いようなない事実は認識していたけれど。
定年退職から来年で10年となり、まあまあ順調に老後を過ごしている。そして気分的には老後も第2フェーズに入っていくようで、自分自身の勝手な捉え方としては“この先の人生はオマケ”ではないかと感じているのだ。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
月が替われば、古稀七十歳を迎える。70年も生きたのかと思う。1954年9月に生まれた。ちなみに出来事としてはこんなことがあった。我が身がこの世に生を享けた直後に起きたのが洞爺丸事故である。
80歳を超えても矍鑠としている先達がゴロゴロいる中にあって、70歳などとはまだまだ若いということなのだろうが、それは“……にしては”といった言い方が付け加わるということを自覚しなくてはならない。
誰でも生き続けていれば70歳、80歳、90歳と歳を重ねていくが、まさかそんな年齢に我が身がなるとは二十代や三十代の頃には想像などできることではなかった。もちろん、漠然と年を取っていくという疑いようなない事実は認識していたけれど。
定年退職から来年で10年となり、まあまあ順調に老後を過ごしている。そして気分的には老後も第2フェーズに入っていくようで、自分自身の勝手な捉え方としては“この先の人生はオマケ”ではないかと感じているのだ。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
週話§土曜流転~一足お先に~ [終活]
2か月ちょっと早く古稀を迎えた中学の同級生にLINEでお祝いをしたら、まじめな返事が返ってきた。
「そろそろ終活を始めないとね」
否応もなく時は過ぎて、ついこの間は最終コーナーを回っていたはずだが、ほどなく最終コーナーからゴール前最後の直線に入ろうとしているようだ。
誰もが終活をまじめに考えているとは思えず、そんなことどこ吹く風と振る舞っている人間も少なくはないだろう。
だが“その時”は確実に近づきつつあって、完璧になどとはいかないまでも生きていた間に蓄積したあれこれの2割でも3割でも、整理しておかないとと思うのである。
半世紀前、東京に出てきて三畳間の下宿で生活を始めた時、部屋にあったのは、本棚一台、小さい食器入れに入った食器類と整理ダンスの中には衣類、ちゃぶ台と布団類くらいなものだった。
気がつけば物は増えて……さてどこから片づけを始めたらいいのだろうか。
《終活のトピックス一覧》
「そろそろ終活を始めないとね」
否応もなく時は過ぎて、ついこの間は最終コーナーを回っていたはずだが、ほどなく最終コーナーからゴール前最後の直線に入ろうとしているようだ。
誰もが終活をまじめに考えているとは思えず、そんなことどこ吹く風と振る舞っている人間も少なくはないだろう。
だが“その時”は確実に近づきつつあって、完璧になどとはいかないまでも生きていた間に蓄積したあれこれの2割でも3割でも、整理しておかないとと思うのである。
半世紀前、東京に出てきて三畳間の下宿で生活を始めた時、部屋にあったのは、本棚一台、小さい食器入れに入った食器類と整理ダンスの中には衣類、ちゃぶ台と布団類くらいなものだった。
気がつけば物は増えて……さてどこから片づけを始めたらいいのだろうか。
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別話§終活のおはなし~人は誰も~ [終活]
[承前]
若い人間がよく“長生きなんかしたくない……”云々みたいな言葉を発して先行きについての政(まつりごと)など考えても無駄と言い放つのを聞くが、残念ながらよほどのことがない限り、人間は七十、八十を超えても、寿命が「うん!」と言わない限りは生き続けることになっている。
そうなった時に、若い頃に発した無責任とも思える言葉の何と虚しいことかと、眼の前の現実を思い知ることになるだろう。
可能性がある以上は、自分自身の何十年か先のことに思いを馳せることは、あながち無駄なことではないはずだ。
死なない人間はいない。だが、生きる前提で物事を考えていかないと、結局どん詰まりになって、しょぼくれたニヒリズムばかりが悪目立ちすることになる。
“楽天的であれ”とも“悲観的であれ”とも言うつもりはなく、自分の行く末くらいは、斜に構えることなく正面から真っ直ぐ見据えてやることが必要ではないかと思うのだ。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
若い人間がよく“長生きなんかしたくない……”云々みたいな言葉を発して先行きについての政(まつりごと)など考えても無駄と言い放つのを聞くが、残念ながらよほどのことがない限り、人間は七十、八十を超えても、寿命が「うん!」と言わない限りは生き続けることになっている。
そうなった時に、若い頃に発した無責任とも思える言葉の何と虚しいことかと、眼の前の現実を思い知ることになるだろう。
可能性がある以上は、自分自身の何十年か先のことに思いを馳せることは、あながち無駄なことではないはずだ。
死なない人間はいない。だが、生きる前提で物事を考えていかないと、結局どん詰まりになって、しょぼくれたニヒリズムばかりが悪目立ちすることになる。
“楽天的であれ”とも“悲観的であれ”とも言うつもりはなく、自分の行く末くらいは、斜に構えることなく正面から真っ直ぐ見据えてやることが必要ではないかと思うのだ。
[続く]
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別話§終活のおはなし~継ぐものは~ [終活]
[承前]
商売でもやっていたのだったらともかく、しがない公務員だった父親から、物的な何かを引き継いだなどということは一切ない。
そもそも“後を継ぐ”などという言葉など何の意味も為さないような家庭環境だったのだから、まあそんなものである。そして、子どもを持たなかったので、先々に引き継いでもらう存在もなく、持てる物はしかるべくどこかへと散逸していくことになりそうだ。
自分なりに気に入って集めたヨーロッパの銅版画古地図は10点ほどになっていて、ささやかなコレクションとして壁を飾っている。だが、そうして集めたものも、我々の死後の行き先を考えてやらなくてはという時期が近づいてきたと感じる。
ではいつに?と思っても、そのタイミングがわからない。せっせと買い集めはしたけれど、自分がこの世から消えた時点で、それらは自分のものではなくなる……金を払って購いこそしたけれど、実は永遠の所有などあり得ず、生きている間だけの“借り物”であったことに気がつくのだ。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
商売でもやっていたのだったらともかく、しがない公務員だった父親から、物的な何かを引き継いだなどということは一切ない。
そもそも“後を継ぐ”などという言葉など何の意味も為さないような家庭環境だったのだから、まあそんなものである。そして、子どもを持たなかったので、先々に引き継いでもらう存在もなく、持てる物はしかるべくどこかへと散逸していくことになりそうだ。
自分なりに気に入って集めたヨーロッパの銅版画古地図は10点ほどになっていて、ささやかなコレクションとして壁を飾っている。だが、そうして集めたものも、我々の死後の行き先を考えてやらなくてはという時期が近づいてきたと感じる。
ではいつに?と思っても、そのタイミングがわからない。せっせと買い集めはしたけれど、自分がこの世から消えた時点で、それらは自分のものではなくなる……金を払って購いこそしたけれど、実は永遠の所有などあり得ず、生きている間だけの“借り物”であったことに気がつくのだ。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~生存証明~ [終活]
[承前]
ブログをはじめとして、いくつかSNSに参加している。様々な人たちとのコミュニケーションというのも大きな柱の一つであるのはもちろんだが、間もなく古稀を迎える自分自身にとっては“生存証明”的な意味合いもまた小さからぬものがある。
繋がっている人たちにどうこうしてほしいとか、そんなことは思わないが、細々とした書き込みを続けていることで「生きてますよ」とアピールしているつもりなのだ。
だから、一週間から10日も書き込みがなかったら“どうしたのだろう?”と思う人が一人や二人かはいるかもしれない。そうして“ひょっとしたら”と気づく人がいるかもしれない。
まあ、広く浅いネットの繋がりだから、そこまで考えてくれる人がいるならSNSをやっていた甲斐が少しはありそうな気はする。
そうしてブログだが、気力は衰えたとしても、一日1エントリーはアップし続けるつもりだ。日々のアップを生存証明として利用させてもらう。そしていつの日かアップが途絶える日がやって来るのだ。それがいつになることかは、神の心次第ということか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
ブログをはじめとして、いくつかSNSに参加している。様々な人たちとのコミュニケーションというのも大きな柱の一つであるのはもちろんだが、間もなく古稀を迎える自分自身にとっては“生存証明”的な意味合いもまた小さからぬものがある。
繋がっている人たちにどうこうしてほしいとか、そんなことは思わないが、細々とした書き込みを続けていることで「生きてますよ」とアピールしているつもりなのだ。
だから、一週間から10日も書き込みがなかったら“どうしたのだろう?”と思う人が一人や二人かはいるかもしれない。そうして“ひょっとしたら”と気づく人がいるかもしれない。
まあ、広く浅いネットの繋がりだから、そこまで考えてくれる人がいるならSNSをやっていた甲斐が少しはありそうな気はする。
そうしてブログだが、気力は衰えたとしても、一日1エントリーはアップし続けるつもりだ。日々のアップを生存証明として利用させてもらう。そしていつの日かアップが途絶える日がやって来るのだ。それがいつになることかは、神の心次第ということか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~年下の知人が~ [終活]
[承前]
パソコン通信の時代に知り合った……昨今は年賀状のやり取りだけの知人が昨年5月に亡くなったと、年明け早々に家族からの葉書で知った。
古稀を迎える年齢となった人間にとって、10歳近く年下の人間に先立たれることほど堪えるものはない。
人間――可能であればだが――年齢の順に旅立っていくのがベターと考えるのは当然のことで、年齢を経れば経るほど、歳若い知り合いに先立たれるのは辛いことだとしみじみ思う。
せめては心安らかに天に昇っていってくれればと願うばかりである。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
パソコン通信の時代に知り合った……昨今は年賀状のやり取りだけの知人が昨年5月に亡くなったと、年明け早々に家族からの葉書で知った。
古稀を迎える年齢となった人間にとって、10歳近く年下の人間に先立たれることほど堪えるものはない。
人間――可能であればだが――年齢の順に旅立っていくのがベターと考えるのは当然のことで、年齢を経れば経るほど、歳若い知り合いに先立たれるのは辛いことだとしみじみ思う。
せめては心安らかに天に昇っていってくれればと願うばかりである。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~メメント・モリ~ [終活]
[承前]
“Memento Mori(メメント・モリ)”……ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味である。
この世の生きとし生けるもの、そのすべてが生きているということを実感しているだろうが、その先にある“死”について考えるのは人間だけではないかと考えた。
いやそんなことはない、ミジンコだって象だって考えているかもしれないぞと言う人がいるかもしれないが。ごくごく常識的な人の思考構造であれば、しかるべく年齢に行き着いたところで“死”について思いを馳せるのは自然なのである。
まあ、その後どのように自分の中で死というものを解釈、理解していくかは人それぞれだろう。だが、世の中には、理由はわからないけれど“自分は死なない”みたいな根拠なき発想を持っている人がいるようで、そうした人は自分が死に直面した時に、どのようなことを考えるのだろうかと思うのだ。
“メメント・モリ”……死を考えることで、死という瞬間を受け容れることではないだろうか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
“Memento Mori(メメント・モリ)”……ラテン語で「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味である。
この世の生きとし生けるもの、そのすべてが生きているということを実感しているだろうが、その先にある“死”について考えるのは人間だけではないかと考えた。
いやそんなことはない、ミジンコだって象だって考えているかもしれないぞと言う人がいるかもしれないが。ごくごく常識的な人の思考構造であれば、しかるべく年齢に行き着いたところで“死”について思いを馳せるのは自然なのである。
まあ、その後どのように自分の中で死というものを解釈、理解していくかは人それぞれだろう。だが、世の中には、理由はわからないけれど“自分は死なない”みたいな根拠なき発想を持っている人がいるようで、そうした人は自分が死に直面した時に、どのようなことを考えるのだろうかと思うのだ。
“メメント・モリ”……死を考えることで、死という瞬間を受け容れることではないだろうか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~長生きですとか~ [終活]
[承前]
寿命……こればかりは自分で決めることができない。長生きしたいとかしたくないとか、そんな了見などお門違いでしかなく、そうした考えは、実のところ先々について何も見通していないからではないかと考える。
長生きすることのメリットとデメリットを考えるなら、デメリットの多さについて危惧しながら、他の人たちはそうした可能性の類に関して、どれだけシミュレーションしているのだろう。
何度も書いているが生き物である人間は必ず死ぬ、いつか死ぬ。夭折するのか、平均寿命どおりか、百歳を超えてしまうのか……生きている存在は必ず死を迎えるのだ。来るものが来たなら、我々は黙ってそれに従うしかない。
古の中国の秦始皇帝は、不老不死の薬を求めて多くの手下たちをあちこちに派遣してそれを探させたという。もちろん、見つかるはずもなく、皇帝もまた誰もがたどる同じ道をたどって逝ってしまったわけだが。
いずれ“お迎え”が来ることは、否が応でも受け容れるしかないことだが、現世の未練もそれなりにあって……気になっている若手歌舞伎役者の行く末とか、お気に入りのテレビ番組の結末がどうなるものか、まあ要するに他愛のないことばかりではある。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
寿命……こればかりは自分で決めることができない。長生きしたいとかしたくないとか、そんな了見などお門違いでしかなく、そうした考えは、実のところ先々について何も見通していないからではないかと考える。
長生きすることのメリットとデメリットを考えるなら、デメリットの多さについて危惧しながら、他の人たちはそうした可能性の類に関して、どれだけシミュレーションしているのだろう。
何度も書いているが生き物である人間は必ず死ぬ、いつか死ぬ。夭折するのか、平均寿命どおりか、百歳を超えてしまうのか……生きている存在は必ず死を迎えるのだ。来るものが来たなら、我々は黙ってそれに従うしかない。
古の中国の秦始皇帝は、不老不死の薬を求めて多くの手下たちをあちこちに派遣してそれを探させたという。もちろん、見つかるはずもなく、皇帝もまた誰もがたどる同じ道をたどって逝ってしまったわけだが。
いずれ“お迎え”が来ることは、否が応でも受け容れるしかないことだが、現世の未練もそれなりにあって……気になっている若手歌舞伎役者の行く末とか、お気に入りのテレビ番組の結末がどうなるものか、まあ要するに他愛のないことばかりではある。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~さてその先は~ [終活]
[承前]
人は死ぬ。いずれ死ぬ……いったい自分は、どこから来て、どこに去っていくのだろう。
死んでしまえば、荼毘に付され“灰”になってそこまでである。死後の世界がどうのこうのとかまびすしいが、これまで誰一人として死後の世界を見た人間などいない。臨死体験は単なる“体験”でしかなく、それをもって死後の世界を見たわけではない……ただの夢である。
意識がなくなり、呼吸が止まり、心臓が止まり。意識が途絶えたら、我々はこの世からおさらばするのだ。もうその先はない。
来年、古希七十を迎えるが、いよいよ秒読みに入っているのは間違いない。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
人は死ぬ。いずれ死ぬ……いったい自分は、どこから来て、どこに去っていくのだろう。
死んでしまえば、荼毘に付され“灰”になってそこまでである。死後の世界がどうのこうのとかまびすしいが、これまで誰一人として死後の世界を見た人間などいない。臨死体験は単なる“体験”でしかなく、それをもって死後の世界を見たわけではない……ただの夢である。
意識がなくなり、呼吸が止まり、心臓が止まり。意識が途絶えたら、我々はこの世からおさらばするのだ。もうその先はない。
来年、古希七十を迎えるが、いよいよ秒読みに入っているのは間違いない。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~SNSは生存証明~ [終活]
[承前]
生存証明が必要な年齢になってきた。どのようにして自分が何とか生きていることを発信できるか。それはまあ、頭と身体が動いていてさえしていればブログとか参加しているSNSに存在証明として発信し続けられるはずだ。
だが、身体が不如意になって余命いくばくもない……そうなった時に、最期が近いことを何らかの形で知らせる方法はないものかと思う。
生体反応をブルートゥースでパソコンに発信して、自分が身罷ったことを知らしめるなんていう装置があればいいと思うが、そんなものなどできるとは思えない。
そして問題なのは、死んだ後も様々な料金が銀行から引き落とされ続けるということで、こうしたことだって誰かに手続きでもしてもらえればいいが、そうでなければ残高がゼロになるまで延々と引き落とされ続けるのである。
あの世に行ってしまえば現世の金のことなどどうでもいいことではあれど、何とか役に立つ方向に持って行けないものかと思う。できれば、あの世からコントールできたらいいのにとすら思ってしまう……そのあたりが人情とかいうやつだろうか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
生存証明が必要な年齢になってきた。どのようにして自分が何とか生きていることを発信できるか。それはまあ、頭と身体が動いていてさえしていればブログとか参加しているSNSに存在証明として発信し続けられるはずだ。
だが、身体が不如意になって余命いくばくもない……そうなった時に、最期が近いことを何らかの形で知らせる方法はないものかと思う。
生体反応をブルートゥースでパソコンに発信して、自分が身罷ったことを知らしめるなんていう装置があればいいと思うが、そんなものなどできるとは思えない。
そして問題なのは、死んだ後も様々な料金が銀行から引き落とされ続けるということで、こうしたことだって誰かに手続きでもしてもらえればいいが、そうでなければ残高がゼロになるまで延々と引き落とされ続けるのである。
あの世に行ってしまえば現世の金のことなどどうでもいいことではあれど、何とか役に立つ方向に持って行けないものかと思う。できれば、あの世からコントールできたらいいのにとすら思ってしまう……そのあたりが人情とかいうやつだろうか。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~我々はお先に失礼~ [終活]
[承前]
不定期連載を久々に……まあ、中身はそれほど真新しいわけではなけれど。
人生の残り時間が徐々に減っている。増えることなどないとはあたりまえのことで、この先元気で30年も生きられるはずはなく、贔屓目に見積もっても20年足らずか、まあそんなところだろう。
生を享けていた間に何を為したかといえば、はなはだお寒いものがあって、結局はほとんど市井の片隅でひっそりと生きてきただけとしか思えない。
まあせいぜい、選挙の時は必ず投票してきた。そうして不思議だと思うのは「自分が投票に行っても何が変わるわけではない」とうそぶいて棄権する人たちのことで、それはもう変わらなくてもいいと言っているだけである。
何かがおかしいと感じたら、投票することで状況を変えてみる必要がありはしないか。昨今の他の民主主義国家の選挙の様子を見ていると、政権交代を躊躇していないことがわかるだろう。
そうして新しい政権がうまくいかないようであれば、次の選挙で交代を模索するということが当然のように行われる。長期政権は、一見すると安定して安心できるような錯覚に陥ってしまうが、内部的には腐敗が顕著に進んでいて、気がついた時は手遅れになりかねない。
そんな政権を交代させられないのは明らかに我々の責任で、力不足は否めなかった。そんな状況を残してお先に失礼してしまうわけだが“その先”をどう考えていくかは、残った世代の問題で、少なくとも何もせずに“見てるだけー!”ではいられないことに気がついてもらいたいと思っている。我々はとっくに御役御免となっているが、もうひと踏ん張りしようと思っている。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
不定期連載を久々に……まあ、中身はそれほど真新しいわけではなけれど。
人生の残り時間が徐々に減っている。増えることなどないとはあたりまえのことで、この先元気で30年も生きられるはずはなく、贔屓目に見積もっても20年足らずか、まあそんなところだろう。
生を享けていた間に何を為したかといえば、はなはだお寒いものがあって、結局はほとんど市井の片隅でひっそりと生きてきただけとしか思えない。
まあせいぜい、選挙の時は必ず投票してきた。そうして不思議だと思うのは「自分が投票に行っても何が変わるわけではない」とうそぶいて棄権する人たちのことで、それはもう変わらなくてもいいと言っているだけである。
何かがおかしいと感じたら、投票することで状況を変えてみる必要がありはしないか。昨今の他の民主主義国家の選挙の様子を見ていると、政権交代を躊躇していないことがわかるだろう。
そうして新しい政権がうまくいかないようであれば、次の選挙で交代を模索するということが当然のように行われる。長期政権は、一見すると安定して安心できるような錯覚に陥ってしまうが、内部的には腐敗が顕著に進んでいて、気がついた時は手遅れになりかねない。
そんな政権を交代させられないのは明らかに我々の責任で、力不足は否めなかった。そんな状況を残してお先に失礼してしまうわけだが“その先”をどう考えていくかは、残った世代の問題で、少なくとも何もせずに“見てるだけー!”ではいられないことに気がついてもらいたいと思っている。我々はとっくに御役御免となっているが、もうひと踏ん張りしようと思っている。
[続く]
《老化のトピックス一覧》
別話§終活のおはなし~自動車と運転免許~ [終活]
[承前]
1984年秋に運転免許を取得。今の車が4台目で、ついこの間4回目の車検を済ませたところである。
年齢を考えるなら、今の車が最後で、乗り潰してさようならということだ。後は何歳で免許を手放そうかということだが、自分的には75歳あたりが目処となるかと踏んでいる。いつまでも運転し続けられるわけではない。
まずもって免許そのものを放棄し、身分証明に使える“運転経歴証明書”を交付してもらうか、さらに更新を繰り返すのか……さすがに、車そのものを手放してしまったら、免許を持ち続けていても意味はなさそうだ。
とはいえ、ただでさえ狭い行動範囲が、さらに狭まる可能性は否定できず、車を手放した後をどう動いていくのか、悩ましい問題になっていくだろう。
現時点で、実際にそういう状況になった時にどうなるものか、まったく想像ができておらず、なかなかに微妙なせめぎ合いになるような気がしている。
とりあえず、高速道路を走っての遠距離移動は70歳あたりで打ち止めとし、その先数年は近場の“スーパーカー”で無難かつ不可欠な足の便として活用していくつもりでいるが。
《老化のトピックス一覧》
1984年秋に運転免許を取得。今の車が4台目で、ついこの間4回目の車検を済ませたところである。
年齢を考えるなら、今の車が最後で、乗り潰してさようならということだ。後は何歳で免許を手放そうかということだが、自分的には75歳あたりが目処となるかと踏んでいる。いつまでも運転し続けられるわけではない。
まずもって免許そのものを放棄し、身分証明に使える“運転経歴証明書”を交付してもらうか、さらに更新を繰り返すのか……さすがに、車そのものを手放してしまったら、免許を持ち続けていても意味はなさそうだ。
とはいえ、ただでさえ狭い行動範囲が、さらに狭まる可能性は否定できず、車を手放した後をどう動いていくのか、悩ましい問題になっていくだろう。
現時点で、実際にそういう状況になった時にどうなるものか、まったく想像ができておらず、なかなかに微妙なせめぎ合いになるような気がしている。
とりあえず、高速道路を走っての遠距離移動は70歳あたりで打ち止めとし、その先数年は近場の“スーパーカー”で無難かつ不可欠な足の便として活用していくつもりでいるが。
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