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弄話§客との距離感~芸人必須~ [落語]

本当に気が向いた時、ふらりと寄席に行ってみることがある。もっぱら新宿末廣亭なのは、交通の便がいいからであるが、何年かに一度程度である。

そこで3時間くらい落語や色物を楽しむのだが、とっかえひっかえ出てくる落語家や漫才師、その他芸人と呼ばれる人々の醸し出す空気感は人それぞれなのだ。

普通にサラリと務めてくれればそれで何の問題もないのだが、客として一番困るのが、客席との距離感を掴めない、掴もうとしない芸人がいることで、そういう人が高座に上がるって、そうだとわかると、もう心ここにあらずで引っ込むまであらぬことを考えたりしているのだ。

つまり、客のいじり方がまるでなっていなくて、それでドツボにはまってしまうかのように感じてしまう。それだけで上等な芸人とは思えず。

何がいけないのかといえば、客に媚びるような態度と見受けられることで、それが度を超すと、さすがに客のほうも気がついて、座が白けること夥しいものがある。

それが、けっこうな年齢ではと思しき芸人の中にもいらっしゃって、この人は長い間これでやってきてしまったのかと、そうした様子を暗澹とした気持ちで眺めさせられてしまうのだ。

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悼話§六代目三遊亭圓楽さん(落語家) [落語]

日本テレビ『笑点』の凋落が止まらない。原因がメンバーの高齢化にあるのは明らかに過ぎることで、新しく桂宮治を一人入れたところで、テコ入れができたとはとても思えない。

動画チャンネルで、先代圓楽や歌丸が司会していた時の様子を見ると、多少のハチャメチャはあるが、活気があって勢いが感じられた。歌丸が司会をしていた時は、特に座布団のやり取りにメリハリがあって、それがいいリズムを産んでいたが、今の昇太にはそういう“座布団芸”のようなものはない。

『笑点』はこの先どのような道をたどるのだろう。木久扇は既に……だし、メンバー一新という大鉈を振るうことがあるだろうか。というか、今それをしないと、既に手遅れも同然なのだが。

そんなことを考えながら、9月末日に亡くなった圓楽を思う。享年七十二

合掌

追記:確か1966年に放送された『笑点』第1回を見ているはずで、司会は故人となった立川談志である。

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奔話§林家三平(先代)を聞いたこと [落語]

昨年末、当代三平が『笑点』大喜利のメンバーから“卒業”した……させられたと言っていいかもしれない。実際に見ていたが、おもしろくはなく、時間の問題だと思っていたので、驚くことではなかった。新しくレギュラーになったのは、桂宮治である。

そんな三平を見ながら、54歳で亡くなった父である先代三平のことを考えていた。一度だけ、彼の“高座”に接したことがある。もう55年くらい前の、新宿末廣亭の正月二之席だった。

新年ということもあって客席はぎっしり満員。もらった“番組表”の中に三平の名前はなかったのに、突然に高座に上がったのだ。

10分ほどではなかったかと思うのだが、客席を笑いの渦に巻き込んで去っていった。あれだけ客席をかき回してボルテージを上げてしまった後に登場する出演者は、さぞやりにくかったことだろうとは、今思えばのことである。

古典らしい古典を演じることもなく、いわば漫談的な舞台しか務めないまま喋り散らかしていった先代をマスコミも持て囃し過ぎてしまった。おそらく先代に比べれば、正蔵と三平の兄弟はまじめで行儀がいいと感じる。だが、特に父親の名前を継いでしまった当代は、先代と同じような芸を期待するあまり、本人の資質とは関係なく“三平”という名前が独り歩きしているような気がしてならない。

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悼話§柳家小三治さん(落語家) [落語]

飄々とした語り口の、いかにも落語家落語家らしい人だった。

大好きなエピソードに、噺家として伸び盛りにあった頃、師匠の小さんから「いつまでも小三治じゃ何だろう」と改名を勧められた時「それだったら、大三治がいい」とか言ったら「大きな事故じゃあるまいし」と叱られたとか聞いたことがあって、この人らしいと思った記憶である。

クラシック音楽にも造詣が深く、音楽関連雑誌にもしばしば登場していた。享年八十一

合掌

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落話§おあきと春団治~新橋演舞場~ [落語]

新橋演舞場で上演中の『おあきと春団治~お姉ちゃんにまかしとき~』を観てきた。奔放過ぎる芸と私生活で知られた初代桂春団治と、彼を支え続けた姉あきを描いた舞台である。新橋演舞場での観劇は3年ぶり。

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新橋演舞場久々の藤山直美が姉あきを、後に桂春団治として一世を風靡した弟の藤吉を西川きよしの息子忠志が務めた……親子共演でもある。

芝居としては薄味と感じた。姉が無条件に弟を支えて一流の落語家に育てて……というにしては、あきと春団治の絡みが少なく、そのあたりが何とも物足りなかったりしたのだ。

明治から昭和まで、春団治の生涯を短いエピソードで繋げていくのはいいがバックに流れる音楽などでいつ頃かを伝えようとしているのだが、ちょっとわかりにくかったと感じる。

加えて脇の役者が薄く、かつての二人の小島(秀哉、慶四郎)のように舞台で存在感を示していた役者がいなくなってしまったことを痛感させられる。そしてせっかく登場させた田村亮の桂文枝もしどころのないままというもったいなさに。

まあ、そんな舞台だったが、我々のお目当ては藤山直美ちゃん。久々の舞台姿は、変わらぬ切れのいい台詞と動きは健在だった。次回は、爆笑ものであるといいのだが。

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寄話§久々に新宿末廣亭へ [落語]

神保町で会社OB会の打ち合わせがあったこの日、12時半にはお開きとなってくれたので、新宿三丁目で途中下車。新宿末廣亭の昼の部を聴いてきた。4年ぶりくらいのことである。

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【新宿末廣亭六月下席昼の部】
春風亭一之輔:真田小僧
柳家小里ん:親子酒
~小仲入換気~
ストレート松浦:曲芸
金原亭馬の助:権兵衛狸~百眼
古今亭菊之丞:長短
林家正楽:紙切り……相合傘、花火、七夕、芭蕉、昇り龍、ミッキーマウス
柳家小満ん:宮戸川
~~仲入~~
古今亭志ん陽:猫の皿
柳家小菊:俗曲
柳家小団治:ぜんざい公社
三遊亭歌奴:新聞記事
鏡味仙三郎社中(仙志郎、仙成):太神楽
古今亭菊志ん:青菜

↓堂々とシニア料金該当者
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13時5分過ぎに入場したら、仲入りの後の出番になっている一之輔が上がっていてびっくりした。出演順が入れ替わるのは珍しくないが、昼の部の落語家で知っているのは一之輔くらいで、彼を聴こうと思っていたのがいきなりの高座姿にうろたえつつ聴いた『真田小僧』だが、唐突過ぎて印象は薄い。

聴いた落語は、すべて初めて聴いたものばかりだった。グーグル検索にキーワードを放り込んで題名をチェックできたのはありがたかった。

落語の間に挟まれた色物の中でびっくりしたのは、ストレート松浦の曲芸。ディアボロ(中国独楽)に始まって、両手に持ったスティックを使って長い棒を巧みに操るのだが、棒がまるで生き物のように宙に浮く様を見て、世の中には凄い芸人がいるものだと感心したのだ。

13時過ぎから16時半のトリまで3時間半、たっぷり堪能して帰路に就いた。

追記:平日の昼過ぎというのに、お客さんは80名ほどで、椅子席は一人おきに座るようになっていて、入場した時にはほぼ一杯だったので、上手側の座敷席に座ったのである。

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