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琴話§キット・アームストロングⅣ~東京・春~ [ピアノ]

マイスタージンガーから一日置いた土曜日は、小ホールでキット・アームストロングのピアノを聴いた。鍵盤音楽年代記(1520-2023)IVと題された5回シリーズの4回目である。プログラムは以下のとおり。

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数年前に旅先で彼が弾くピアノを聴いて感心し、彼の演奏でドビュッシーが聴ければと思ってたら、映像Ⅰだけではあったが、それが実現した。

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ショパンの夜想曲3曲に続いて待望のドビュッシー『映像Ⅰ』が始まった。1曲目『水の反映』のゆらゆらと立ち上ってくる音の心地よさ。この1曲だけで聴きに来てよかったと思わせられた。そして『ラモー讃』の詩情、最後『動き』の即興的と堪能したが、せっかくなら『映像Ⅱ』まで演奏してほしく、後に続くリストは不要と思えたのだが……相変わらずリストは苦手だ。

休憩後は、フォーレの夜想曲からリスト、シェーンベルク、オーンスタイン『飛行機に乗って自殺』まで、一気に演奏されたが、どの曲も知らずゆえ、曲の切れ目は把握できなかったが、シェーンベルクからオーンスタインは、印象的な音楽で、特にオーンスタインは、間断なく続く音塊が押し寄せては引き、押し寄せては引きでスリリングな体験だった。

この日使われたピアノは、オーストリアのベーゼンドルファー。数年前に聴いた時はシュタインウェイで、その時に聴いた硬質な音ではなく、色彩感に富んでいたと感じたが、ただ小ホールの空間にコンサートグランドはいささか大き過ぎて、音圧の強さに負けそうになってしまうことしばしばだったのである。

[アンコール]バッハ『半音階的幻想曲とフーガ』d-moll BWV903

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嗜話§クラシックの大好物~ピアノ編~ [ピアノ]

[承前]

バッハ:15のインヴェンションなど
モーツァルト:ソナタいくつか
ベートーヴェン:同じく
シューベルト:同じく
ショパン:24の前奏曲集など
ドビュッシー:映像Ⅰ・Ⅱ、前奏曲集第1巻

ピアノが弾けたらなあとは、数多ある人生の中の後悔の一つで、何度か挑戦を試みたものの、バッハのインヴェンション第1番は、右手から左手が入るところで、手も足も出なかったのだ。

なので、もっぱら聴くばかり。バッハは、インヴェンション以外にも、イタリア協奏曲とかゴールドベルク変奏曲とか。

そしてモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのソナタ。ショパンはよく聴くけれど、なぜか理由はわからないが、リストはまったく耳に入ってくれないままに今日まで来てしまった。

ショパンだって十分にヴィルトゥオーゾなのだが、リストのそれは好みとは言えず。

そしてドビュッシーのピアノである。これはもう一番の大好物ではないか。最初に聴いた映像や前奏曲集を弾いていたのがアルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリだったからかどうか、すっかりはまり込んでしまったのだ。

とりわけ映像の精妙さには、我が鈍い感受性の厚い扉がこじ開けられた気がしたのである。
                               [続く]

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仮話§ピアノが弾きたかった [ピアノ]

過去に、少しだけでもかじった楽器はギターとフルートくらいか。ギターはフォークソングブームの頃にコードで弾くことを覚えて、数年くらい遊んでいたが、テクニックを駆使してバリバリ演奏することなどはできなかった。

フルートは10年くらい吹いていただろうか。就職した時に、ローンを組んでちょっと上等な楽器を手に入れた。超絶技巧を必要とするような曲は演奏できなかったが、吹きたいと思った曲のいくつかは何とか吹けるようになったけれど、自分で“これ!”と思うような音を出すまでには至らず。

でまあ、ギターやフルートといったあたりであるなら、素人にも手は出しやすかったりするが、どうにもならないのがピアノである。

とうとうピアノを弾くことはできなかった。我が家には同居人が持ってきたアップライトピアノはあるが、ちょっと手を出しはしたものの、手も足も出ずだったのだ。


ギターでコードを覚えたおかげで、簡単なコードくらいだったら押さえることはできるが、右手と左手が別々な動きをするような音楽は完全アウトで、例えばバッハのインヴェンション第1番の冒頭など、どんなにゆっくり弾いてみても、うまく弾けたことなど一度もない。バッハのインヴェンションはシンプルで大好きな曲集だが、素人がやるにはハードルが高いと感じる。

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鍵話§ピアノを聴く~ウィーン~ [ピアノ]

ピアノは難しい楽器だとしみじみ思う。どう聴いたらいいものか、基本的にわかっていない。タッチのニュアンスやら、ペダルの効果といったことに始まって、それらをまったく聴き分けられないままである。

もちろん、シュタインウェイ、ベーゼンドルファー、ヤマハといったピアノメーカーごとの違いなどもわからない。

ずうっとわからないままで終わるかと思っていたら、一つの演奏会を聴いたことで、ほんの少しピアノが奏でる音楽の一端を理解できたような気がしたことがあった。

1992年10月、ウィーンに一週間旅行した時のことである。目的はワーグナーの『ニーベルングの指環』序夜『ラインの黄金』の新演出上演を観るため。それ以外には特に予定もなかったが、気まぐれに楽友協会ホールのチケット売り場を覗いたら、アルフレート・ブレンデルのピアノ・リサイタルが行われるとあって、それはそれはとチケットを確保したのだ。

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謳い文句を見ると、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲シリーズ第1回ということで、プログラムは以下のとおり。

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当日、チケットは売り切れで、ホール入口付近には“チケット求む”の人たちがずらりといて、我々も何人からか声を掛けられたが、お譲りするわけにはいかない。

プログラムは16~18番Op.31の3曲と28番Op.101……4曲とも未聴である。

一音聴いて、違う音楽を聴いたのではと思うほど、雰囲気が違ったのだ。日本のコンサートホールともまったく空気感が違う中で、演奏されるベートーヴェンは、ここの場所で演奏されるのが当然といった様子を感じさせた。

相変わらずピアノ演奏のテクニックはわからなかったが、ブレンデルの奇を衒わない音楽づくりとその一つ一つに反応するウィーンの聴衆。ああ、これは、この瞬間でしか味わうことができないのだろうなと、その場に居合わせた幸運に感謝したのである。

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鍵話§ピアノが弾ければ・・・・・・ [ピアノ]

テレビで“街角ピアノ”とか“駅ピアノ”とか“空港ピアノ”なる番組で、老若男女問わず、様々な人が自慢の腕を披露しているのを眼にする。

海外のそれを眺めていると、クラシックはむしろ少なくて、ジャズやポピュラーを巧みに弾いていることが多い。

そうした様子を見ていて、それは羨ましいと感じてしまう。残念ながらピアノを弾くことはできずじまいのままで我が人生を終えることになるようだ。

半世紀ほど前にはフォークギターを弾いていたので、コード進行あれこれを少しは理解していたから、そこから頭を働かせてピアノで和音を押さえるくらいはできるようになっていた。

だが、そこどまりで、既成の曲は押さえることはできても、コード進行を自在にということはできずじまいのままである。それさえできていれば、頭の中で音楽を組み立てて少しは格好がついたように思うのだが。

というわけで、番組中で渋い老人がさり気なくジャズのナンバーを弾いては口ずさんでいる様子は何とも洒落ているではないか。

そんな我がレパートリーは、ビートルズの『レット・イット・ビー』の前奏がせいぜいであることを白状しておく。

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鍵話§ピアノ―マイカテゴリー―[下] [ピアノ]

[承前]

そんな程度のピアノ音楽鑑賞の来し方だが、好んで聴くピアノ曲をいくつか挙げて、ピアノのマイカテゴリーを閉じたい。

まずはバッハから。基本の“き”の字のような2声のインヴェンションを聴くのは楽しい……もしピアノを習っていたら恨みがましい思いで聴きそうな気はするが。そしてゴールドベルク変奏曲だが、鉄板のグレン・グールドの新盤をもっぱら。

もちろんモーツァルトも気分が軽やかになってくれるので、ソナタ全集を脈絡なく聴いている。

ベートーヴェンは28番のソナタが好きで、それから30~32番の最後のソナタ3曲を、いつも不思議な思いで聴いている。29番のハンマークラヴィーアは巨大過ぎて全容を掴みきれず持て余したままが長い。

そしてシューベルト。よく聴くのは13番と19番から21番の3曲のソナタで、シューベルトについては、ここ10年ほどでようやく耳に入るようになった。間に合ってよかったとはしみじみな本音である。

ショパンを忘れてはいけない。一番によく聴くのは24の前奏曲で、それに続いて夜想曲集や練習曲集だが、ベートーヴェンやシューベルトよりはるかに気楽に聴けるようだ。

最後の最後はドビュッシー。アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリが弾く映像Ⅰ・Ⅱと子供の領分の録音は愛聴盤で、前奏曲集は1番ばかり聴いている。そしていくつかの小品などなど。

ああ……残念ながらリストの音楽に親しむことはなかった。どうしても耳に入ってくれないまま、この歳まで来てしまったのだった。
                                [了]

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鍵話§ピアノ―マイカテゴリー―[中] [ピアノ]

[承前]

長いこと、ただ漠然と聴いていたピアノだが、それまでの自分の不徳を一蹴するようなことがあった。

1992年10月、ウィーンのムジークフェラインザールで聴いたアルフレート・ブレンデルのベートーヴェン・ピアノソナタ・チクルスの第一回がそれである。作品番号31の1-3(16番~18番)と作品番号101(28番)と、聴いたことのない曲ばかり並べられていたが、これが“眼から鱗”の演奏で、ブレンデルの音楽性のゆえかどうか、見事に納得させられたのだ。

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以来、ブレンデルが自分自身にとってのピアノ音楽の規範になったのだ。たぶん一番に聴いた回数の多いピアニストではないだろうか。おそらく7回くらいは聴いていて、ブレンデルなかりせば、我がクラシックの中の、ピアノ体験は間違いなく寂しいものになっていたことだろう。まさに恩人である。

ブレンデル以外に複数回聴いたピアニストを挙げておく……マウリツィオ・ポリーニ、内田光子、アンドラーシュ・シフといった面々だが、個人的にはブレンデルから大きな恩を受けたと思っているのだ。

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                               [続く]

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鍵話§ピアノ―マイカテゴリー―[上] [ピアノ]

アップライトピアノを置こうものなら床が抜けかねないオンボロの借家に住んでいた身にしてみれば、ピアノを弾くなど絵空事の世界でしかなかった。

フォークギターを少しばかりかき鳴らしていたから、コードの類は理解していたので、頭の中でCとかAmとか唱えながら、和音を押さえるようなことはできたけれど、右手と左手がバラバラに演奏しているとしか考えられない、バッハのインヴェンション1番のような単純な曲すら演奏することができないのである。いかにきちんとしたレッスンが必要なのかを思い知らされる。

というわけで、もうずうっと聴く側の人間だが、ピアノの音色とかペダルの技巧といったことには相変わらず疎いまま。

何年か前、シュタインウェイが常駐で演奏されているコンサートホールに、ベーゼンドルファーが持ち込まれて演奏会が行われたが、その時はさすがに音色の歴然とした違いに愕然としたことはあったけれど。

かくして、今だもってお粗末な耳しか持ちえないままに漠然とピアノを耳にしているばかりである……だがまあ、そんな耳にも影響を及ぼした経験など少しばかり。
                               [続く]

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