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想話§この時季になるとブラームス [ブラームス]

紅葉していた樹々の葉が落ち、冬も近くなると、自然にブラームスが聴きたくなってくる。刷り込みといえば刷り込みだし、何か周波数が変わったりもしたら、真夏に聴きたくなる可能性もないとはいえない。

そんなわけで、ブラームスを聴く機会が増える。交響曲でもいいが、そこまで大規模ではなくて、むしろ室内楽のほうがしっくりくるような気がする。

中でも一番に推したいのがクラリネット五重奏曲で、寂しい時にさらに寂しい音楽を聴くのもまた佳き哉。

ブラームスのこの曲を聴くようになったのは、たぶん五十代を過ぎてからのことで、これをもっと若い頃に聴いていたとしたら、どのように感じながら聴いてきたのかは想像できない。

歳を経重ねてきたからの心境らしきものは確かにあって、早い夕暮れの残照の眩さに、何がなしな諦念らしき存在に気がついて、人生を振り返ってみた後は、我が身の行く末を想像してみたりもする……もしも若い時に、同じ曲を聴いても、そうした感じ取り方をしていたものか、今となっては想像することができない。

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暮話§ブラームス―マイカテゴリー―晩秋へ [ブラームス]

清少納言風に書くなら「秋はブラームス」である。ブラームスの芸風のようなものと季節が合致して聴こえてしまうのは自分だけだろうか……あくまでも“個人の感想”でしかないのだが。

例えばクラリネット五重奏曲。徹頭徹尾、痛切としか聴こえないその音楽が描き出す風景は、陽が斜めに傾いて世間が赤みを帯びてくる午後のそれである。センチメンタルといえば、これ以上センチメンタルな音楽があるだろうか。

もう一つ、交響曲第1番の終楽章を挙げたい。冒頭の少し後、有名な主題が始まる前の金管楽器の交唱の部分である。秋のアルプスの谷間のあちこちから角笛が思い思いに聴こえてきて、それが“こだま”で返ってきたり、他の角笛とハーモニーを奏でたり、何とも穏やかで心安らぐ祈りの音楽が現出してくるのだ。

というわけで、個人的にはブラームスといえば秋の作曲家と勝手に任命しているのだが、中には厳冬期としか聴こえない音楽もあって、交響曲第4番の終楽章を聴きながら頭の中に広がる風景は、北ドイツの凍てついた荒野で、北ドイツは、言うまでもなくブラームス出身の地なのである。

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