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行話§閉塞成冬~七十二候~大雪 [七十二候]

大雪の初候“閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)”である。

さて、いよいよ押し詰まってきた。年末のスケジュールも始まっている……大掃除、カーテンのクリーニング出し、キッチンのレンジフードと浴室のクリーニング依頼をどうするか。

自分たちでやるものと業者にお願いするものと、それが長いこと年末の時期に恒例となっている。そうした諸々をクリアしつつ、お楽しみも忘れない。

正月のおせち料理も宅配野菜の取り寄せでお願いしているし、それから年末からちょこちょこ酒肴にいただくおいしいものも注文を忘れないようにしなければである。

子どもの頃ほどではないが“ちょっとだけ祝祭感”をもたらしてくれるのが今時の雰囲気ではないだろうか。

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行話§橘始黄~七十二候~小雪 [七十二候]

小雪の末候“橘始黄(たちばなはじめてきばむ)”である。

子どもの頃は、柑橘類……みかんが大好物だった。というかまあ、実家での冬のおやつといえばそれしか出てこなかったのだ。

箱買いをしていたから、気が向いたら箱から取り出し、炬燵に戻って皮を剥き、口に放り込むことを繰り返していたのだ。炬燵みかんそのものである。

結構夢中になって食べていたから、気がついたら3個4個5個と食べ進んでいた。

みかんの類を食べなくなったのは、実家から出て一人暮らしを始めた以降のことで、ぷっつり果物の類を食べなくなってしまった。決してほめられない食生活が長く続いたのである。

今は同居人のおかげで、果物の類を少しでも食べるようになったが、近くのスーパーマーケットの果物はうまいものを仕入れてくれず、しょっちゅうではないが、うまそうな店のやつを買ってはあれこれ楽しんでいるのだ。

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行話§朔風払葉~七十二候~小雪 [七十二候]

小雪の次候“朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)”である。

今度の日曜日はもう12月になっている。実家暮らしをしていた半世紀前は、もう少しという以上に寒かった。

自転車通学していたので、薄手のダスターコートに軍手をはめて通っていたが、痩せ我慢していたわけでもなく、若かったからかどうか、それでも十分だったのである。

そして今、温暖化のせいで何とも穏やかな晩秋の日々が過ぎていくようで、半世紀の気温差にはちょっと首を傾げそうになってしまう。それでも気温は順調に下がって、いよいよ結露の季節ともなった。

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行話§虹蔵不見~七十二候~小雪 [七十二候]

小雪の初候“虹蔵不見(にじかくれてみえず)”である。

いよいよ年賀状の枚数が少なくなった。10月に値上げしたばかりの年賀状を70枚ほど購入。毎年決まった体裁で写真をはめ込み、簡単な一文を書けばできあがりだが、その作業を始めるのはさすがに12月に入ってからだ。

そして少しずつ、毎年届いた人から年賀状が来なくなる。年賀状仕舞いだと断りの一言を書いてくる人もいるが、一言もなく“何年か来なくなった”と気がついて、こちらからも自然消滅という人も出てきた。

個人的には出し続けておきたい人と“もういいや”という人に分かれてきて問題なのは、その間のグレーゾーンの人たちである。おそらくは生きている間に顔を合わせることもなく、どちらかが年賀状のやり取りを途絶えさせてしまうまで惰性で投函している人たちも少なからずいる。

いっそ“ゼロ”にして年賀状仕舞いしてしまえば気が楽なのだろうけれど、そうしてそんなせめぎ合いがもうしばらく続くということか。

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行話§金盞香~七十二候~立冬 [七十二候]

立冬の末候“金盞香(きんせんかさく)”である。

立冬も末候となった。秋の階段も真ん中あたりにいるだろうか。そういえば武満徹のオーケストラ曲に『ノヴェンバー・ステップス(十一月の階梯)』なるものがあって、西洋のオーケストラに和楽器の尺八と琵琶のソロが加わる作品なのだ。

ずいぶん前に一度だけテレビで演奏しているのを見たことがあったが、もちろんまったく覚えてはいない。

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琵琶(左)と尺八(右)の楽譜は、五線譜に書かれてはいるが、図形楽譜の体裁で書かれているので、奏者の即興性が重視される。初演以来、何百回と独奏を受け持った琵琶の鶴田錦史と尺八の横山勝也以降は、彼らの口伝によってどう演奏するかが伝えられていったと聞く。

そんな『ノヴェンバー・ステップス』は、武満徹の作品の中でも群を抜いて演奏される機会が多かったのである。

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行話§地始凍~七十二候~立冬 [七十二候]

立冬の次候“地始凍(ちはじめてこおる)”である。

今年も残すところ一か月半になってしまった。年齢を重ねるに従って、時の速度は転がるようにスピードを増して、六十代の定年退職を過ぎた頃から、加速度的に速くなってきてしまった。

もはや、一度速くなった流れをスピードダウンさせることなどできるはずもなく、ただひたすら流れの中に身を任せるしかない。

人生の黄昏は近づき、遠くないうちに沈みゆく光芒が幾筋も細く長く伸びていくことだろう。

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行話§山茶始開~七十二候~立冬 [七十二候]

立冬の初候“山茶始開(つばきはじめてひらく)”である。

秋分から一か月半、冬が立ってしまった。

ほどなく、寝ている間の外気温が一けた台に下がる。そうすると結露の季節なのだ。

2009年にリフォームしたキッチンのシロッコファンの性能がよく、いちばん弱い風力だと音もなく静かに回ってくれるので、夜の間に回して結露防止に役立てている。

効果的な結露防止だが、一冬の間に2回か3回くらい、室温と外気温の差が大きくて、ファンを回しても、結露が出てしまうことがある。そんな寒さが厳しい冬も間もなくだ。

だが、地球温暖化のゆえかどうか、10年前に比べれば穏やかな寒さの日のほうが多くなったような気がするのだが。

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行話§楓蔦黄~七十二候~霜降 [七十二候]

霜降の末候“楓蔦黄(もみじつたきばむ)”である。

晩秋となった。木々の葉は色づき、そして落葉し……地球温暖化で少しばかり短くなったと感じる秋の風景が広がった。

10月に入っても30度超え、あるいは30度をうかがう、夏としか思えないような日が続いたりして、いっそのこと10月まで“夏認定”しましょうかとすら思ってしまう。

とはいえ、朝の外気温は20度を下回るようになって、もう一枚上に羽織って早起きとなる。

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行話§霎時施~七十二候~霜降 [七十二候]

霜降の次候“霎時施(こさめときどきふる)”である。

すっかり秋が短くなってしまったようだ。かつて9月下旬で感じた陽気が、10月今頃まで繰り下がってしまって、うかうかしていると11月終わりには、冬の便りを聞くことになってしまう。だから、秋が2か月くらいとしか感じられなくなってしまったのだ。

この候で10月も終わり。ささやかな近況としては、今月はじめに取得できた70歳以上対象の東京都シルバーパスを重宝して使い始めたことを報告しておきたい。

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行話§霜始降~七十二候~霜降 [七十二候]

霜降の初候“霜始降(しもはじめてふる)”である。

我が家付近の日没が16時台に入ってきた。来月下旬には最も早い日没時刻となってしまう。

定年退職してこのかた、自宅の窓からあっという間に世間が暗くなっていく様子をつぶさに見ている日々なのだ。

そして、日没はともかくも、日の出が遅くなって朝がなかなか明るくなってくれずで、早起きの身としてはもどかしい思いで世間が明るくなってくれるのを、ブログのエントリーをまとめているパソコンの前から眺めている。

日没時刻は年末には少しずつ遅くなってくれるけれど、日の出の時刻は新年の月半ばを過ぎないと早まらない。そして、今度は早まっていく様子を楽しみに表を眺めるのだ。

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行話§蟋蟀在戸~七十二候~寒露 [七十二候]

寒露の末候“蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)”である。

さすがに真夏の暑さに続く残暑も穏やかになってきたようだが、9月には賑やかに合唱していたコオロギたちも、元気がなくなって少しばかり寂しい鳴き方をするようになった。

5年前、ラグビーワールドカップ日本大会が真っ盛りで、19日と20日には、決勝トーナメントの準々決勝4試合が行われ、我々は東京スタジアムで行われたニュージーランド対アイルランド、日本対南アフリカの2試合を観ている。

そして記憶にあるのは、まだまだ寒いなどとはいえず、両日ともジャパンの半袖ユニを着て応援しても、何の問題もなく元気だったのだ……あの年は、翌年のコロナ禍を前にして自分的には“いい年”と呼んでもよかった、そんな年だったのだ。

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行話§鴻鴈来~七十二候~寒露 [七十二候]

寒露の次候“菊花開(きくのはなひらく)”である。

秋本番……と言わせてほしい。

空はいよいよ高く、夏の間は薄っすらと透明な白魚のような飛行機が飛んでいくのを見ていたが、今は澄み切った青空をはっきりとした輪郭の機体が気持ちよさそうに西へ西へと向かっていく。

我が家上空には何本かの西行きの航路があって、忙しく飛んでいく様子を眼にする。頭の上で飛ぶ音が聞こえるので、見上げると飛行機の姿はない。ああそうだったと、視線を前に移していって、ようやく機影を捕捉できる……数千mの高度から音が届くには15秒以上かかるから、音が聞こえたあたりを見上げても、飛行機はとっくの昔に先の先へと飛んでいるのだ。

KEN00609.JPG

そのことがわかっているつもりでも、ついつい音の聞こえる位置を見上げるのは習い性なのである。

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行話§鴻鴈来~七十二候~寒露 [七十二候]

寒露の初候“鴻鴈来(こうがんきたる)”である。

そして、半袖の季節は……もう少しだけ続く。そういえば、ミュンヘンの呑んべ祭りオクトーバーフェストは一昨日の日曜日に2週間の日程を終えた。

あの喧噪を楽しむことは叶わないままだったが、とても残念というほどではない。それはなぜかといえば、ミュンヘンの町の至るところにビアホールやビアガルテンがあって、どこでもうまいビールを呑ませてくれるから。

↓2008年9月、巻寿司と枝豆と葱チャーシュー
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10日から2週間の旅程の中で、ミュンヘンには最後にたどり着く。そこで、ようやく年にたった一度のお楽しみがビアガルテンなのだ。必ず行くのは、中央駅近くのアウグスティナーのビアガルテン。座るのも決まって持ち込み自由のセルフサービスエリア。町中の寿司屋で買った巻寿司や稲荷寿司、枝豆を並べてつまみとし、ミュンヘン一うまいエーデルシュトフの1リットルジョッキを傾けるのだ。

何というか、そういう気ままで気兼ねない旅行ができたのは、本当に幸運な
ことだったと、ぐびぐび!を懐かしく思い出しつつ、日本のビールを口にす
るのである。

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行話§水始涸~七十二候~秋分 [七十二候]

秋分の末候“水始涸(みずはじめてかる)”である。

8月の終わり、トンデモ鈍足の台風10号“サンサン”がジョギングレベルのスピードで、特に九州に大きな被害をもたらし、暦が9月に変わったところで熱帯低気圧に変わったという、気象庁泣かせの迷走を見せつけた。

そして九州で800mm超、東京の八王子では遠隔豪雨で300mm超という、一か月の降水量を軽々と超える雨量を記録したのである。それにしても、あちこちで下水が受け容れの限界を超えて溢れている映像をこれほど頻繁に見ることは記憶にない。

そんな雨量で増水した川を目にした我が自治体は、朝も早よから土砂災害警戒情報を発し、避難指示を出して体育館2か所へ避難するようにと、屋外の広報スピーカーからアナウンスされたのだ。

我が家の立地は標高の高い丘の上ゆえに、豪雨となってもほとんど問題などないはずだから、高みの見物を決め込んで、特に何をするでもなく、自宅で静かにしていた。その日の食料品は前日には調達済だったので、日がな一日窓の外の雨の様子を眺めて時間が過ぎていったのだった。

さらに9月21日には能登半島を豪雨が襲い、犠牲者と甚大な被害ともたらした……これまでの常識では考えられないような雨の降り方だと感じる。

アフリカでは干ばつに襲われて水不足に悩まされたり、世界各地で山火事が発生して広範囲の森林が焼失したりと、どちらもバランスよくという気象環境など期待するのが無理ということなのか。

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行話§雷乃収声~七十二候~秋分 [七十二候]

秋分の次候“蟄虫培戸(むしかくれてとをふさぐ)”である。

9月も終わりに近づいて、いよいよ“秋深まる”とはまったく見えない……秋が見えてきてくれない。

秋はどこへ行った? ちょっと前に書いたことだが、今や夏が半年近くで、冬が3か月、春と秋が一か月半ずつという季節構成になってしまったのだ。つまり……

春:3月後半~4月
夏:5月~10月
秋:11月~12月前半
冬:12月後半~3月前半

……ではないか、まあ、極端な話だが。

それでも、世紀が変わったあたりはまだそうでもなかったような記憶だが、この10年ちょっとの間に、地球温暖化が劇的に進行したように感じる。

自分たちの世代が生きている間に、この進行が止まるとか、元に戻っていくとか、そういうことは考えられず、後の世代にツケを残してしまうことは、申し訳ないことだと思う。

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