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軽話§角打ち礼讃 [居酒屋]

“角打ち”を居酒屋と呼ぶには、少しばかり無理がありそうだ。角打ちとは酒屋が店内の空きスペースで立ち呑みできるように設えた店のことである。

だから店で商っている酒を出して、酒の肴はナッツ類にイカの燻製、柿ピーといった乾き物がメインで、あとはせいぜいコンビーフみたいな缶詰あたりが出てくる程度か。

立ち呑みだから滞在時間は短い。2時間長っ尻するのは野暮というもので、一時間を超えるようなことはまずもってなく、ビールを一本に日本酒が一合で店を後にする。まさにちょい呑みの王者ではないか。

角打ちは地元密着の酒屋がやっているから、お客さんも地元民が多く、眼の前の同士と気兼ねなく話をするのもよし、壁に向かって淡々とビールをぐびぐびするも勝手次第。短時間で切り上げるから、酔っ払って足元が覚束ないなどということもなければ、新宿ゴールデン街のカウンターバーで管巻いて喧嘩が始まるようなこともない。極めて健全なのである。

残念ながら我が住む町に角打ちはない。そして正しい角打ちで呑んだのは、たった一回でしかなく、あとは何軒かの立ち呑み居酒屋があるのみ。

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悦話§立ち呑みの店“うけもち”の追憶 [居酒屋]

2018年の秋に店じまいした水道橋南口の“うけもち”……いい立ち呑みの店だったなあとしみじみ。2004年の秋から10年くらい通ったと思う。

酒もつまみも全品三百円のところ、3000円で11回使える回数券をありがたく使わせてもらっていた。

夏はさっぱりしたスパゲッティサラダ、冬は大鍋でたっぷり煮込んだ肉豆腐におでん。その他、河岸から買いつけている新鮮な刺身が数種類に、自分で焼く干物類、そして珍味あれこれとか。

店主の梅ちゃんのセンスが店内に充満して、夕方になるとウズウズが始まって、行かずにはいられない店だったのだ。

ようよう店にたどり着いて、まずは生ビールかホッピーで喉の渇きを抑え、手始めに生からすみを箸の先で舐めてやる。そうして落ち着いたところで、夏だったら刺身を切ってもらい、小腹が空いているようだったらスパサラをもらう。

冬であれば、大鍋からたっぷりに肉豆腐か、種一つ百円のおでんを3品くらいピックアップ。どの料理も一手間かかっていることがわかるのである。

そんなわけで一回呑みに行くと“せんべろ”で済まそうと思っても、そうは行ってくれず、結局は酒で900円、つまみで900円の長っ尻になってしまうのだ。それだけ呑み食いしても2000円でお釣り……財布に優しい店なのだ。

定年退職とともに出向く機会がないままだったが、ある日、ふと誰かが書いたブログで閉店を知ったのだった。梅ちゃん、ありがとう!

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週話§日曜枯寂~小盛があるといいですね~ [居酒屋]

食べる量が減ってきていると……何度も書いていることだが。だから外食が悩ましい。料理などの盛り加減がどんなものか、自分なりに想像して店に入るようになってしまった。

だから例えば、とんかつ屋などで肉の量が何グラムなのか、メニューなどに表示されているのはありがたい。それこそ、120gなら食べられるが150gとなると諦めるかもしれない。とまあ、そんな塩梅である。

結局のところ、料理の小盛とかハーフサイズが設定されている店はそれほど多くはない。だが、設定してくれればありがたいことで、そしてハーフサイズだから値段もちょうど半分にしてくれなどとは言わない……フルサイズで800円の料理なら500円くらいで出してくれればありがたいだけなのだ。

かつてよく出かけていたチェーン系居酒屋では、夫婦して数皿の料理を平らげて、締めのご飯までいただいていたが、もうこのところは3皿ほどで十分満足するまでに落ち着いている。あれもこれも食べたい気持ちはあるのだがそれを全部注文しようものならギブアップは必定である。

なので多くの店がハーフサイズを設定してくれればうれしいのだけど……。

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週話§日曜有閑~神田小川町の鶴八~ [居酒屋]

昨日からの勢いで……

今は昔、神保町の東端の神田小川町に鶴八という居酒屋ありき。地下の店で店に入ると、右手に10人ほど座れるカウンターが奥まで伸び、左奥には数人の小上がりがある小ぢんまりとした店である。

カウンターの中、キッチンの真ん中にはでーん!と菊正宗と賀茂鶴の薦被りが積まれて、それが店の売りでも、好みは賀茂鶴のほうだった。

生ビールを軽く1杯もらった後は、一合桝でもらうのもいいが、それより何よりのお気に入りだったのは、木樽の底に木の香がしみ込んだのを冷蔵庫で冷やしたので、これを二合半もらう。二合だとちょっと足りず、三合だと少し多い。それで二合半のことを“こなから”と呼ぶのだそうだ。

付き出しが二品出て、常に変わらず竹筒に入ったシジミの味噌汁が、胃腸を労わるようにとのことである。

後は料理だが、これがうまい。いつも二品くらいで、白身の刺身に海老芋とつくね団子の煮おろし、それから湯葉豆腐あたりと決めていた。

そんな鶴八のお世話になったのは1996年あたりから10年くらいか。ちょっと間があって2006年頃に出向いたら閉店していた。その前から“客の入りが悪い”と愚痴をこぼしていたが、定年退職までは通い続けたいと思っていた居酒屋だけに、何とも残念な閉店である。

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酔話§チェーン系の居酒屋考 [居酒屋]

自らをグルメだとか味にうるさいとか標榜する気はさらさらなく、そもそも味音痴だと言ってもいいくらいなのだ。

だから、高級な店に入ることなどはまったくない。ゆえに、チェーン系居酒屋を利用することも躊躇するわけではない。

最初に使い始めたのは“天狗”という居酒屋チェーンだった。新宿や渋谷にも、それぞれ何軒か営業していて、何より安いというのがありがたかった。まだまだ財布の中が寂しかった三十代前半、夫婦二人(同居人は下戸)が呑み食べて2000円そこそこという驚異的なお勘定に驚きつつ、せっせと通っていた。

少し財布が温かくなったら“E”という、何となく洒落たっぽい居酒屋を見つけて使うようになったが、時折アイデア倒れの料理を出すのが玉に瑕だったりする。

そんな感じでチェーン系居酒屋も利用しているわけだが、神保町宮仕え時代に、町内のチェーン系を使ったことはなかった……というよりも、チェーン系居酒屋がそれほど存在しておらず、家族経営の居酒屋のほうがヴァリエーション豊富だし、それぞれ特徴があったので、気に入った何軒かをとっかえひっかえ通っていたのだった。

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楽話§立ち呑みの“U”が閉店していた [居酒屋]

ウェブリブログ時代に足繁く通っていた神田三崎町の立ち呑み居酒屋“うけもち”が2018年9月で閉店していた。

初訪問は2004年9月。折しもプロ野球のストライキ騒ぎがあった頃である。

酒も酒肴も全品300円、冬のおでんや生野菜、ホッピー中は100円と、まさにリーズナブル。さらに3000円で1割おまけの付いたお得な回数券もあった。

いそいそと店に入って、奥の調理カウンターに行き、注文するのはホッピーの黒。肴は定番の生からすみ、湯葉刺身、刺身(スズキ、ネギトロ)といったあたりから適当に選ぶ。さらに、夏はスパゲッティサラダ、冬は大鍋で煮込んだ肉豆腐が絶品。

おおよそ、つまみを2品か3品、うけもちではもっぱらホッピーで、さらに中(焼酎)を2杯(200円)追加で、勘定は1000円ちょっと……財布に優しい。

会社を出て帰宅する、その中間補給地点としては、まさにうってつけの一軒なのだった。

定年退職このかた神保町界隈から足が遠のき、うけもちに行くことも叶わなくなっていたことで、閉店したと知るのに3年も経ってしまっていたのは、いささかショックでもある。

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愉話§呑藝春秋[75]天狗~懐かしの居酒屋~ [居酒屋]

[承前]

結婚した当時、まだまだ潤沢に小遣いを使えなかった。夫婦で都心に出ての帰りがけには、ちょっと酒を呑みながら食事をしようと見つけたのが居酒屋チェーンの天狗である。

ネットで店を探すなど、まだまだ先の話だったので、何やらな本を読んで、それで天狗の存在を知った。

安くて味もそこそこというのに惹かれて入ってみれば、店内はごくごく普通の居酒屋なのだが、確かに安い。生ビールの中ジョッキに冷酒を二合ほど呑みながら、肴を3、4品(バターコーン、豆腐のステーキ、大根サラダなど)を注文し、締めに焼きおにぎりでも頬張れば大満足。

それで、最初に入った時のお勘定が2500円でお釣りがきたという記憶。これはありがたいと、新宿に行った時には必ず寄っていたのだ。確か、西口だけで3軒くらいあったのではなかったか。店によっては、日本酒が数銘柄置かれていて、何にしようかと選ぶ楽しみもあったのだ。

そんなに重宝に呑んだり食べたりしていた天狗だが、財布に少しばかり余裕ができると、もうちょっとうまい店へと乗り換えてしまった。それはそれで目先も変わることにはなったが、天狗については、通わなくなった今でも、居酒屋の楽しさを教えてくれた店だとありがたく感謝している。
                               [続く]

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旨話§外食下手になりつつあって [居酒屋]

かくの如くの状況ゆえに、外で食事をしてという回数が激減してしまった。

宮仕え時代の頻度とはもちろん比較になどなりはしないが、都心に出かけて夕方までいたりする時は、何だかんだ晩飯と称して酒を呑みつつの食事を済ませて帰るのが通例みたいなものだったのである。

それがこのコロナ禍で狂わされてしまった。月一か二くらいで都心に出てはいるのだが、歌舞伎座がはねても、そそくさと地下鉄を乗り継いで帰宅してしまうし、会社OB会の午後仕事の時くらいは、神保町呑みしないでもないが、今はもう自宅近くでランチを食べるとかその程度でしかない。

それゆえかどうか、このところ食事をしようと店に入るのが億劫だと感じてしまうようになってしまったのだ。

この御時世のゆえもあるが、自分自身が気軽にドアを開けてという感じにはなかなかなってくれない……心のどこかで、第三者との距離をコントロールしているという気がする。

いずれ、おそらくあと一年はかかるかもしれないが、ワクチン接種が進み、それ以外の治療法や予防もできるようになれば、2020年1月以前に戻ることは可能だろう。そうなった時点で、心の底から外食を喜び楽しむことができるようになってくれればいいのだが。

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週話§日曜恬淡~居酒屋―マイカテゴリー―~ [居酒屋]

神保町で仕事をしていた時、足繁く通った居酒屋は2軒あった。宮仕え中頃は、小川町の神保町寄りの地下にあった“鶴八”に、キャリア終了の近くは神保町北西側の“U”という店である。

鶴八は、カウンター席に数人座れる小上がり。カウンター席からよく見えるところに菊正宗と賀茂鶴の薦被りがどーん!と置かれていて、そこから一合枡に注いでくれる。その他、樽の底に残った木の香の付いたのを冷蔵庫で冷やして出してくれるのだ。

生ビールの後は、もっぱら樽冷やを二合半もらっていた。二合半は“こなから”と呼ばれていて、一升の四分の一……ちょうどいい塩梅とでもいった意味ということか。

注文するどの酒肴も気取らずうまかったが、海老芋を炊いて大根おろしを和えたもの、湯葉とつくねの煮物とか、日本酒にばっちり合ってくれた。

残念ながら2005年頃に閉店。

そして、宮仕え最後の頃に通ったのが“U”である。カウンターのみ9席の建物は昭和の“仕舞た屋”の風情を残すレトロ感に溢れた居酒屋だ。でまあ写真にあるように、付き出しの一口握りがすこぶるうまい。小肌や平目を、塩梅のいい酢飯で握って出してくれるが、2貫だけでなくもっと食べたい。

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右端のカラスミも自家製で、料理の質はなかなかに高く、鶴八とはまた違う居酒屋である。言うまでもなく日本酒の揃いも良好である。

というわけで、マイカテゴリーの有効利用を目指しての第一回はこれにて。

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