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連話§ワタシの酒肴[193]ローストビーフ [酒肴]

[承前]

時折だが、ローストビーフを張り込むことがある。店によっては切り落としをパックしてお得に売られていたりするので、それを狙って買うのである。

グレイビーソースにホースラディッシュで食べるのが一般的だが、日本人としては山葵醤油でいただくのがよろしい。むしろ、グレイビーソースよりも合うような気がするのだ。

ずいぶん前、ドイツビールを呑ませる店で“たまにしか入ってこないの”と言われて、神戸牛を生のまま細かく叩いたやつに山葵醤油を垂らしてサンドイッチにしたのを食べさせてくれたことがあって、まさに絶品なのだった。

それはローストビーフとは違うけれど、でもレアなローストビーフを叩いてというのもありではと思っている。

間もなく正月、以前はお約束のようにローストビーフをおせち料理の一員として買い求めていたが、このところご無沙汰である。せっかく思い出したのだから、年末に調達してやろうではないか。
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連話§ワタシの酒肴[192]厚揚げの小ネタ [酒肴]

[承前]

元より豆腐とその仲間が好きなことは、今更ながら言うまでもないことだ。そして厚揚げである。むっちりとした食感は、佳き酒肴としての条件を兼ね備えていると思う。

おいしい食べ方の最上位は、焼いた熱々をいただくことだが、この焼き方が難しい。表面が焼き上がってと思っても、芯まで熱くなっていないことのほうが多く、その塩梅のつけ方が難しいのである。

……と思っていたら、あっさり解決する方法を目撃した。それはもう40年前のこと、当時住んでいた最寄駅近くにあった居酒屋で厚揚げ焼を注文した。

あっ!と思ったのは次の瞬間、手に取った厚揚げを電子レンジに放り込んだことで、そこですべてが氷解した。そうして中まで熱くしたやつを、焼き色がつくまで網で焼けば出来上がりではないか。

なるほど“文明の利器”も使いようで、そうしてやれば焼き色と中まで熱くしたいという問題が解決された瞬間だった。

そうしてカウンターに届いた熱々厚揚げに感心しつつ口に運んだのである。
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連話§ワタシの酒肴[191]湯豆腐・・・・・・ね [酒肴]

[承前]

……豆腐肴が連続してしまった。

湯豆腐は一年中食べている。暑い時でも、湯豆腐と冷奴を食べ分けて飽きない。だが、湯豆腐の季節はやっぱり冬だろう。

鰹節とおろし生姜に醤油をかければ簡単においしくいただける。嘘偽りなく湯豆腐さえあれば日本酒がうまい!湯豆腐ほど日本酒に合う肴はないのだ。

明治維新を官軍勝利に導いた立役者である大村益次郎(村田蔵六)は日本酒に豆腐を合わせるのを好んでいて、眼の前で湯豆腐を温めながら酒を呑んでいた……そうしていた最中に暗殺者に襲われたのである。

そんな話を司馬遼太郎の『花神』で読んで以来、ことさらに湯豆腐と日本酒の組み合わせを意識するようになったとは、以前も書いたことだが、益次郎は酒一合に豆腐一丁だったそうだが、さすがに丸々一丁は持て余す。せいぜい半丁くらいで十分に酒が呑めるのだ。
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連話§ワタシの酒肴[190]揚げ出し豆腐 [酒肴]

[承前]

元より豆腐好きなものだから、揚げ出し豆腐には目がない。居酒屋の御品書で見つけたら迷わず注文することにしているが、意外なことに出してくれる店は多くはない。

先月、日産スタジアムで行われたラグビー・テストマッチの日本対オールブラックス戦の後“反省会”にと入った蕎麦屋で揚げ出し豆腐があるのを見つけて久々に注文。おいしくいただいた。

揚げ出し豆腐の肝は“蕎麦つゆ”にあると思うが、考えてみれば蕎麦つゆは揚げ出しと共通しているようで、蕎麦屋で揚げ出し豆腐を出すのは理に適っているということだ。

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揚げ衣が片栗粉で、揚げ上がりの繊細さもまた、揚げ出し豆腐を少しばかりだが洒落た一品に仕立て上げているような気がしないでもない。

そして、あくまでも個人的な感覚だが、これこそまさに酒の肴でしかなく、ワタシ的にはご飯のおかずにはなってくれないのである。
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連話§ワタシの酒肴[189]カプレーゼ [酒肴]

[承前]

“カプレーゼ”と言われて、即座に「あれ」とわかる人がどれくらいいるものか。

まあ要するに、トマトとモッツアレラチーズをオリーブオイルとバルサミコで和えたサラダなのだが。

初めて食べたのは、たぶんあっちを旅行していた時で。肉物に辟易してきた頃、パスタでも食べようと入ったイタ飯屋だったのではないかと思われる。

もし、メニューにカプレーゼとだけしか書かれていなかったら、わかることなくスルーしてしまったかもしれないが、料理名の横に簡単な説明文が書かれていたようで、それなら注文しようじゃないかということになったのだ。

まあ、イタ飯屋は旅行中のお助けレストランで、それ以外にも生ハムみたいなのがあったりして、ちょいとばかり軽やかな食事を楽しむことができる。

そんなわけで、旅行中のカプレーゼはありがたい一品になってくれていて、それは我が家の食卓にあっても、それほどくどくもない、爽やかあっさりとした肴として重宝しているのだ。
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週話§日曜流転~病みつきなんすよ~ [酒肴]

いわゆる“かわきもの”のつまみ2種である。

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左は老舗和菓子メーカーが“満を持して”売り出した「だまされたと思って食べてほしい『海苔チーズサンド』」なのだ。店頭で見つけて“だまされてやろうじゃん”と買い求めたが、これがうまい!

塩味の煎餅に挟まれたクリーミーなチーズ、そしてパリッパリの海苔……これにはすっかり騙され、もとい魅了されてしまった。酒のつまみにもなるがどちらかというと、恰好のお茶うけといていただいている。

そして右の一品、もとい逸品は“にんにくピーナッツ”なるもので、これが実に危険なつまみ……皮付きピーナッツとサクサクの揚げにんにくが病みつきを約束しているのだ。

そして時に入手困難になったこともあった。スーパーのナッツ売り場で見つけて試してみたら、これがめちゃ旨ではないっすか!それで、ことあるごとに買っていたある日、棚から姿を消していた。一度食べて覚えた味は、あたかも麻薬のごとく身体が渇望するのである。

数か月ほど忽然と姿を消していた、にんにくピーナッツが再び棚に出現した時、我々は狂喜した。そして“おとな”発動をして、家に途切らせぬよう、まとめ買いを欠かすことはないのだ。

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連話§ワタシの酒肴[188]里芋の煮っころがし [酒肴]

[承前]

毎日であるとか、たくさんというわけではないが、里芋の煮っころがしは好きだ、5個か6個もあれば日本酒の佳き肴として舌を喜ばせてくれる。

醤油、砂糖、酒などで甘く色よく炊いた里芋はねっとりとした感触が日本酒を進ませてくれるのは何とも不思議なことで、子どもの頃にはこんなもののどこがうまいのかと思っていたが、長じてみればこうした味がわかるようになるという不思議。

こういうのが“大人の味”ということなのだろう。
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連話§ワタシの酒肴[187]ハンバーグ [酒肴]

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ハンバーグが嫌いな人……手を挙げて!

“いない”ということにして先に進むことにしよう。初めてハンバーグを食べたのがいつのことだったか、意外にもかなり正確に記憶していると思う。それは、小学校の入学式の帰りで、両親が世話になっていた町一番の洋食屋に行った時、ちょうど昼飯時だったので、店主が入学祝いにお昼ご飯を出してくれたのだ。

お子様ランチのような設えで、そんな中に肉団子くらいの大きさの挽肉料理が入っていたのだが、今思えば間違いなくハンバーグなのだった。

そして、それを最後にハンバーグの空白期が続く。長いブランクを経て、その次に食べたのがいつのことだったか、とんと記憶がない。何しろ、外食をほとんどしない実家だったので、ハンバーグにありつこうにも、そのチャンスがなかったのである。

今思えば、その“ハンバーグ”とやらは、レトルト製品ではなかったかと記憶をたどるのだ。そしてそれは、昔食べたハンバーグとは似ても似つかない別物だったのだ。

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今、ハンバーグを食べる機会は多く、神保町のランチョンに行った時の多くは自慢メンチカツを注文するが、時にハンバーグ食べたい!の虫が騒いで、目玉焼きがお約束でトッピングされた真っ当そのもののハンバーグを頼むのである。
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連話§ワタシの酒肴[186]生ハムおいしい [酒肴]

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初めて生ハムを食べたのは1970年代の半ば過ぎ、知り合いが連れて行ってくれたカジュアルなステーキレストランだった。確か国産で、たまにしか入荷しないので、口にできたのはラッキーだったようだ。

生ハムが日常の食卓にのぼるようになったのは、結婚してからのことで、実は生ハムの存在自体を忘れていた節がある。

なので、我が家での生ハム初めがいつのことだったのか、記憶にないのだ。スーパーの棚で見つけて、気がついたら酒の肴の主役の一つとして存在していたのだった。

家で食べる時は、貝割れ菜を添えてもらって、塩味と貝割れのピリ辛の合わせ技を楽しんでいる。

普段使いのスーパーマーケットで売られている国産生ハムは何ちゃって度が高く、風味には欠けてしまう。好みとしてはスペインのハモンセラーノよりは、イタリアのプロシュートのほうがよろしい。

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そして、これまでに食べた生ハムで、一番うまかったと自信を持って言えるのは、6年前にインスブルックのスーパーマーケットの肉売り場の生ハム。その場で薄くスライスしてくれたのを、ホテルに持ち帰って夕食に食べたのだが、鮮度上々で、かつ風味豊か……そうだった、山のすぐ向こうはイタリアではないかと実感したのだった。
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連話§ワタシの酒肴[185]チャーシュー [酒肴]

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焼豚(チャーシュー)である。叉焼とも書くが“串焼き”という意味らしい。

そして、焼豚焼豚と標榜してはいるが、そのほとんど大多数を“煮豚”が占めている疑惑が発生している。ちなみに“正しいチャーシュー”はこちら。

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さすがに、こうした手間はかけられないか、設備の問題か、ラーメン屋の多くは、塊り肉を煮込み、ラーメンのタレに漬け込んだりしたものを出している……まあ、食べるほうにしてみたら焼こうが煮ようが、まあ、どちらでもかまわないのだが。

それで酒の肴だが、写真のように辛子などちょいとつけたりして食べるのもよろしい。

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だが、いいチャーシューが手に入ると“葱チャーシュー”を作ってもらう。刻んだ長葱と食べやすく切ったチャーシューを豆板醤などで和えるだけだがこれがピリ辛でうまい。
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連話§ワタシの酒肴[184]栃尾揚げ [酒肴]

[承前]

新潟は栃尾の油揚げを初めて食べた経緯はこちらを参照のこと。

まあ、何しろ不思議な油揚げである。厚揚げのような厚さなのに、中はフワフワしている。そのフワフワした厚みの中に、刻み葱や葱味噌、納豆などを挟み込んで、電子レンジで温めたり、グリルで焼いたりしていただくのだ。

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何より一番の好みは、刻み葱をたっぷり挟み入れてレンチンし、生姜醤油をかけるだけというシンプルな奴だが、リンクに書いたように、神保町に存在した新潟ラーメンの店が、夜は居酒屋に変貌した時の一推しつまみがこれ。

それ以来、栃尾揚げといえば刻み葱に拘っている。呑めた頃だったら、一枚の栃尾揚げを注文すれば二合、三合は軽々と呑めてしまう……お得なつまみだった。

というわけで先月、車で出かけたデパートの食料品売り場に栃尾揚げの出店があって、いそいそと買い求めた。いつもどおりに生姜醤油を垂らし、晩酌の佳き友となってくれたのである。残念ながら二合も三合も呑めなくなっていて、少しばかり持て余しそうにはなったが。
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https://reinheitsgebot.seesaa.net/article/200709article_17.html
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連話§ワタシの酒肴[183]バターコーン [酒肴]

[承前]

居酒屋に行って、積極的に注文するわけではないが、あれば何となく食べてしまう酒の肴の類である。

よく注文したのは、同居人と最初に行った居酒屋と思われる、チェーン系の天狗。ここは何しろ安くて、最初期の1980年代半ば頃は、二人でしこたま呑み食いしてもお勘定が2500円行かなかった記憶だ。

そんな注文した中に、鉄のプレートで熱々のバターコーン(コーンバター)も入っていて、缶詰のホールコーンを炒めてバターをのせただけの本当に簡単なつまみなのだが、これがけっこううまかった。

食べる時に醤油をちょっと垂らしてもうまいし、もちろんそのままでもうまい。主役を張れるわけではないが、さり気なくそこにいつつ存在感を主張する名脇役という位置付けだろうか。
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連話§ワタシの酒肴[182]ナムル [酒肴]

[承前]

韓国朝鮮料理の“ナムル”が好きだ。特にほうれん草と豆もやしがうまい。

焼肉屋でも単品で注文することがあるし、脂っぽい肉の後に食べると、口がすっきりしてくれるようだ。もちろんビールのアテにもウエルカムである。

日本で主に食べられるナムルは、上の2つの他にゼンマイと大根のナムルがあるが、ワタシ的酒肴としてはそれほど好みではないが……ビビンバの中に入っているのはOKだが。

考えてみればほうれん草のお浸しにあたるのがほうれん草ナムルということだと思われるけれど、味付け一つでまったく別の料理になるとはである。
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連話§ワタシの酒肴[181]フライドポテト [酒肴]

[承前]

フライドポテトについて書いたことはあったかな……まあいいや。

皮付きと皮なしとどっちが好きかと聞かれたら、どちらでもOKだけれど、カリカリッとした食感に皮付きは合わないだろうと考えるほうではないか。

それで、ポテトの外がカリっとしていた中がふんわり柔らかいのと、某ハンバーガー・チェーンの細長く全般カリッとしたのとでは、後者の方が好きなように思う。

もっとも、もう長いこと“M”のフライドポテトからはご無沙汰なので、今どうなっているのか知りようがない。

ビール主体の店に行くとフライドポテトを食べることはあるが、単品で注文することはなく、ソーセージとか、そういった別の料理の付け合わせとして出されるフライドポテトを食べるのは、単純に食べる量が減っているからである。

昔からじゃがいもの類は好物だったが、五十代以前ほど食べられなくなってしまっていて、だからフライドポテトだって数切れも食べれば、口が満足して、それ以上はもうけっこうみたいな自分がいるのは、少しばかり寂しい。
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連話§ワタシの酒肴[180]鶏唐揚げ [酒肴]

[承前]

偏食だった子どもの頃は、肉の類を受け付けなかった。どうにか少しずつが食べられるようになったのは中学以降のことだが、それでも鶏肉を食べることはなかった。

東京に出ていく前後だったか、高校生の頃だったか、同級生たちと入った店で同級生が注文したのがフライドチキン。不承不承で口にしたら、まあまあ食べられないことはなく、とりあえず克服できたと思ったが、そのような洒落た食べ物を出す実家ではなく、しばらく鶏のから揚げを口にすることはないままに時は過ぎ……。

昨今の鶏唐揚げブームである。それではと唐揚げの店で買い求めることもあるのだが、不味くはないけれども、鶏肉がしっかり締まり過ぎているからかワタシ的には食べるのに苦労する。

そこで愛用しているのが、日常使いのスーパーマーケットの総菜売り場で売られている鶏唐揚げで、これは値段も安いが、肉もほどほどに柔らかくて、年寄りにはありがたい。考えるに、唐揚げ専門店の鶏肉のほうがいいものを使っているが固い。安い肉のほうが柔らかくて食べやすいということだ。

ちなみに唐揚げは、ご飯のおかずにはなってくれないほうである。
                               [続く]

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