探話§旨味について日本 [日本]
第五の味“旨味”について気がついていたのは日本人だけではないと思っているが、その旨味を存分に活用してきたのは日本人であろう。
旨味を抽出して旨味調味料“味の素”を作り出したのは、東京帝国大学教授だった池田菊苗で、20世紀初頭のことだった。
日本では、昆布や鰹節、煮干しといった海産物から出汁を取って、それを料理に活用してきたわけだが、欧米の人間がその旨味に気がつかなかったのだろうかといつも思うのである。
ずいぶん昔、イギリスの料理番組で、味噌汁と称して出汁を引かず、味噌を熱湯に溶かしただけの代物を平然とテーブルに出したことを思い出す。
出汁の類というなら、フランス人だって肉や魚から“フォン”と呼ばれる出汁をつくっているわけで、だから旨味の存在に気がついていなかったわけではなさそうだと考えるのだが。
ただ、ここにきて欧米のシェフたちが日本料理における旨味に着目して、新たな地平を切り拓いていこうという強い意志を感じる。
新しい発想が入っていくことで、旨味の別の可能性が生み出されるのではないか……こうして日本料理が様々な人たちの手で、さらに様々なヴァリエーションが展開していってくれることを期待するのだ。
《日本のトピックス一覧》
旨味を抽出して旨味調味料“味の素”を作り出したのは、東京帝国大学教授だった池田菊苗で、20世紀初頭のことだった。
日本では、昆布や鰹節、煮干しといった海産物から出汁を取って、それを料理に活用してきたわけだが、欧米の人間がその旨味に気がつかなかったのだろうかといつも思うのである。
ずいぶん昔、イギリスの料理番組で、味噌汁と称して出汁を引かず、味噌を熱湯に溶かしただけの代物を平然とテーブルに出したことを思い出す。
出汁の類というなら、フランス人だって肉や魚から“フォン”と呼ばれる出汁をつくっているわけで、だから旨味の存在に気がついていなかったわけではなさそうだと考えるのだが。
ただ、ここにきて欧米のシェフたちが日本料理における旨味に着目して、新たな地平を切り拓いていこうという強い意志を感じる。
新しい発想が入っていくことで、旨味の別の可能性が生み出されるのではないか……こうして日本料理が様々な人たちの手で、さらに様々なヴァリエーションが展開していってくれることを期待するのだ。
《日本のトピックス一覧》
瑞話§スイス―マイカテゴリー―美術館 [スイス]
オーストリアとドイツには足繁く旅しているが、スイスを旅行の目的地にしたことはない。
正しく言えばあるのだが、宿泊したのも1泊だけで、翌日の帰国便のためにチューリヒ空港近くのホテルに泊ったのが、最初で最後である。
それでスイスだが、オーストリアの滞在先からレンタカーで国境を越えて、スイス東部のヴィンタートゥアという小都市まで、2時間ほどのドライブをして、オスカー・ラインハルト美術館(Am Römerholz)に行くのだ。
繊維産業で巨万の富を得たラインハルト家の三男坊が、得た財力と審美眼を遺憾なくに発揮して蒐集した、およそ15世紀から20世紀のピカソに至るまでのヨーロッパ絵画が収蔵された個人美術館なのである。
オスカーの死後はヴィンタートゥア市に遺贈されたが、その際「コレクションは門外不出」と遺言を遺していたので、美術館まで足を運ばなくては、それらを見ることが叶わない。
というわけで、2006年に初訪問して以来、4回通ったことになるが、その都度驚かされる……毎度同じ絵を見ているのにだ。最後の訪問は2018年。
時に、ミュンヘンやベルリンの美術館に行かないでもないが、規模が大き過ぎて、行くたびに疲れてしまう。その点、この美術館は規模がほどよくて、鑑賞に訪れている客も10人ほどと、おかげで疲れることなくゆったりと見て回ることができる。さて、この先に2回くらいは訪れたいと考えているが、どうなることか。
なお、スイスで他に訪れたところはというと、あと一つだけ。ザンクト・ガレンの修道院図書館(世界遺産)しかなく、スイス・アルプスの偉容を拝んだことは一度もない。
短時間でもスイスを旅した身にしてみるなら、とにかく物価がめちゃくちゃ高いという印象が強いのである。
《海外旅行のトピックス一覧》
正しく言えばあるのだが、宿泊したのも1泊だけで、翌日の帰国便のためにチューリヒ空港近くのホテルに泊ったのが、最初で最後である。
それでスイスだが、オーストリアの滞在先からレンタカーで国境を越えて、スイス東部のヴィンタートゥアという小都市まで、2時間ほどのドライブをして、オスカー・ラインハルト美術館(Am Römerholz)に行くのだ。
繊維産業で巨万の富を得たラインハルト家の三男坊が、得た財力と審美眼を遺憾なくに発揮して蒐集した、およそ15世紀から20世紀のピカソに至るまでのヨーロッパ絵画が収蔵された個人美術館なのである。
オスカーの死後はヴィンタートゥア市に遺贈されたが、その際「コレクションは門外不出」と遺言を遺していたので、美術館まで足を運ばなくては、それらを見ることが叶わない。
というわけで、2006年に初訪問して以来、4回通ったことになるが、その都度驚かされる……毎度同じ絵を見ているのにだ。最後の訪問は2018年。
時に、ミュンヘンやベルリンの美術館に行かないでもないが、規模が大き過ぎて、行くたびに疲れてしまう。その点、この美術館は規模がほどよくて、鑑賞に訪れている客も10人ほどと、おかげで疲れることなくゆったりと見て回ることができる。さて、この先に2回くらいは訪れたいと考えているが、どうなることか。
なお、スイスで他に訪れたところはというと、あと一つだけ。ザンクト・ガレンの修道院図書館(世界遺産)しかなく、スイス・アルプスの偉容を拝んだことは一度もない。
短時間でもスイスを旅した身にしてみるなら、とにかく物価がめちゃくちゃ高いという印象が強いのである。
《海外旅行のトピックス一覧》