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旨話§並んでまで食べたい・・・・・・? [B級グルメ]

マツタケのシーズンが始まった頃、道の駅に開店前から数十人が並んでいたというニュースを見ていて、そうして並んでまで食べたいものがあるものかと考えたが、どうもそんな食べ物などないことに思い至った。

食い意地が張っているわけでも、何か食べ物に異常なほど執着するわけでもない。普通に食事ができれば、それ以上に何やら不満を感じることなどもない。

もちろん行列に並ぶことがないわけではなく、昼食で“今日はこれ”と決めて、行った店で何人か待ちということはあるが、テレビで話題になったから“それじゃあ食べに行ってみよう!”と、2時間も並ぶようなことなど考えもしないことである。

もちろん、うまいものが食べられれば、それに越したことはないが、それを突き詰めるつもりもないし、だかからまあ、そこそこでもまったく不自由を感じはしないのだ。

テレビのニュースショーが、これでもかとグルメの類を垂れ流す日々だが、そこに映る行列の長さを眼にして、何事もなかったかのようにチャンネルを変えてしまう……そんな日常である。

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解話§焼きそばパンうめぇ! [B級グルメ]

日本人の不可解な嗜好の一つに“澱粉質をおかずに澱粉質を食う”なるものがある。ラーメンにご飯、餃子ライス、はてはお好み焼きに飯、そして……

焼きそばパン

……という奇怪な一品がある。最初に挙げた3点については、どれも小麦&米の組み合わせだが、焼きそばパンに到っては小麦&小麦の組み合わせで、同じ穀物の類でも異種同士であればまだしも、さすがにここまでくると、まずいんじゃないの?と思ってしまう。

だが、そんなこと誰も意に介することなどなく、嬉々として焼きそばパンにかぶりつくのだ。もしも口を滑らせて「それ澱粉質+澱粉質じゃん!」とか言ったとしても、言われた相手はキョトンとして「何か問題でも?」などと返してくるばかりである。

そして気がついた。世の中にはさらにスパゲッティ・ナポリタンを挟みこんだりな存在があることに。これはもう西洋由来の食べ物を日本人がもてあそんだ成れの果てではないか。イタリア人、そして欧米のみなさんに合わせる顔などありません。申し訳ない!……

……などと、反省したふりをしつつ焼きそばパンを口にするワタシがいる。だってうまいんだもの、しゃあない。

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鶏話§卵かけご飯~TKGですねン~ [B級グルメ]

朝ご飯の“ラスボス”といえば、これはもう卵かけご飯しかないでしょ!

物心ついた時には、お気に入りの定番となっていたのは、偏食のゆえであろうと思うが、そうでなくても卵かけご飯に飛びつくのは当然のことだろう。

朝起きて、まだ胃が動いていないかなという時でも、パカっとご飯に割り入れてかき回し、醤油を垂らしてやれば、あっさりとかき込むことができる。醤油でもいいが、そこに海苔の佃煮でもあれば、風味は一層増して、食欲はいや増しなのだ。かくして快調な一日が始まってくれるということである。

ところで卵かけご飯を“T(卵)K(かけ)G(ご飯)”と、見事な三文字略語を考え出したのは誰なんだろうと思う。これを見かけるようになったのがいつか、諸説あるが、おおよそ今世紀に入って10年くらい経った頃らしい。

どこぞの居酒屋で締めのご飯の中に“TKG”とあるのを見つけて、うまいこと言うなあと感心した記憶である。

そして似たような時期に知った、めちゃウマな卵かけご飯の作り方を最後に書いておこう……卵を割って白身と黄身に分け、まず白身だけご飯にかけてよく混ぜる。そうしたところに黄身を落として混ぜ、醤油適量というもの。こうすることで、黄身の濃厚さが際立つということなのだ。

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旨話§仕出し弁当のお試し期間・・・・・・ [B級グルメ]

大学時代にアルバイトをしていた時のことである。昼食には仕出し弁当を頼むことができたのでお願いしていた。いつものように食べようとしたら……

明日、お試しの仕出しが来るからね~♪

……と教えてくれた。そしてお試し弁当が届いて食べてみたら、これがうまい。それまで頼んでいた弁当と雲泥の差に、担当の人が「こっちの仕出しに替えるから」と。

替わった仕出し弁当は、最初の数日ほどはそれなりのうまさを維持していたのだが、一週間も過ぎると、あーら不思議……それまで頼んでいた業者の弁当とたいした差がなくなり“元に戻って”しまったかのようになったのだ。

その時しみじみと、営業をかける時はそれなりの水準のものを出してくるのだと思い至ったのだ。考えてみれば当たり前の話で、お試しが不味かったら話にならないではないか。

まだまだ世間知らずだった大学生にしてみれば、まさに“営業”の手練手管を身をもって体験したのだ。かくして替わった仕出し弁当が延々と続くことになってしまったのである。

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求話§牛丼松屋の券売機 [B級グルメ]

券売機が置かれている食事の店は多い。簡単なのは、並んだ四角いボタンにたぬきそばとかきつねうどんと表示されていて、それを押せば券が出てきてくれて楽である。

最近はタッチパネルの券売機が普及してきていて、あれこれ手順を踏まないと県が出てきてくれないのだ。特に悩ましいのは、牛丼チェーンの松屋のやつで、何とも面倒なことこのうえない。

最初に、店内で食べるかテイクアウトかを選択し、次に牛丼類か定食類かを選ばせる。いつも注文するのは牛丼のミニサイズなのだが、これが一度ですんなりと券が出るまでたどり着けない……なぜかミニ牛丼のボタンが見つからないのだ。

あまりにあたふたしていたら、後ろで待つ人がいることに気がついたので、ここは一度出直しだと、順番を譲って再度ミニ牛丼にチャレンジした。二度目は落ち着いて進んでいけたので、スムーズにたどり着いて無事に食券を出すことができた。

この手の機能には比較的慣れているつもりだが、年に2、3回程度の利用ではあたふたするのもしかたないということか。

ちなみにほぼ同じタッチパネル式の券売機を置いている小諸そばでは迷うことなく注文したい蕎麦まで簡単にたどり着くことができるのである。

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燻話§ハムカツ・・・・・・見当たりません [B級グルメ]

しつこく何度も話題にしているハムカツについてである。そして何度も書いているとおりで、厚さが1cmにもなるようなハムカツは、もはやハムカツとは呼ばない。

厚さが5ミリもあれば十分で、ハムカツとは、衣とハムのアンサンブルを楽しむべきもので、厚いハムがでかい顔をして存在感を誇示しているようでは台無しなのである。

貧乏ったらしいと言えば聞こえは悪いが、そもそもとんかつというかつての贅沢品の代替物として生まれたのと思われるのがハムカツであるがゆえに、あくまでも庶民のためのB級的食べ物として、その真価が発揮されるのだ。

そんなわけで、幼少時代の実家の食卓において、肉屋の店頭で揚げられていた商品を時折買ってきたわけだが、そこにとんかつなどはなく、肉類はハムカツかせいぜいメンチカツ、あとは芋コロッケか、蒸かしじゃがいもを一口大に切ってパン粉で揚げたポテトフライくらいなものだった。

そして2ミリ厚ほどのハムカツを嬉々として頬張る少年が自分だったのだ。

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糖話§澱粉質~おかずとしての~ [B級グルメ]

こうした食傾向は日本人だけなのかどうかわからないことに、ラーメンライス、お好み焼き定食などなど、澱粉(でんぷん)質物をおかずにご飯を食べるというものがある。

まあそもそも米という主食におかずという、日本の食習慣に似たシステムが他の国や民族に存在しているものかどうかわからず、ゆえに米食をしているアジアの他の人たちが澱粉質をおかずに食べているものだろうか。

不肖ワタシも類に漏れず、そうした食傾向があることは否定などできない。

町中華の店に行けば、餃子でビールを呑んだ後の締めに半チャンラーメンを注文することしばしばであるし、食べ盛りの頃は蕎麦屋で、かつ丼と蕎麦のセットを頼んだりしていた。

澱粉質同士が合うというよりも、味付けした“おかず”の濃さでご飯を食べているというあたりが正解のような気がする。

ところで、何も考えずに餃子をおかずに、ご飯を食べていたある日、新聞に書かれていた文章を読んだら、それが頭から離れずに残っているのだが……

「餃子をおかずにご飯を食べるというのはおかしい。餃子の皮が澱粉質なのだから、ご飯まで食べる必要などないではないか」
……言われてみれば確かにそうだと、頭では納得したものの、結局は今だに餃子ライスを食べ続けているのである。

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荻話§町中華を愛でる~独身時代~ [B級グルメ]

会社に入って3年ちょっと暮らした西武新宿線最寄駅あたりをグーグルのストリートビューで眺めていた。

2軒あった焼肉屋のうちの1軒は閉店、もう1軒は経営者が変わったのか、外観が小ぎれいになっていた。どちらかというと通っていたのは、閉店したほうの店で、7:3くらいの比率ではなかったか。

そして気になっていたのは、閉店した焼肉屋の近くで愛用していた町中華なのだが、ストリートビューで外観までは見ることができたが、調べてみたら4年くらい前に閉店していた。店主が高齢化したゆえの閉店のようだった。

別に、めちゃくちゃうまいとかそういう店ではなく、典型的な町中華のそれで、ビールを呑みつつ餃子や野菜炒めを食べ、締めにラーメンかチャーハンで満足する……それで十分なのである。

元より味にうるさいわけでもなく、許容範囲は広いほうだから、一度行って気に入れば足繁く通うことになる。

理想だが、自分の家から歩く範囲に、蕎麦屋、洋食屋、町中華が揃っていてくれればと思う。町中華の店はあるが蕎麦屋はなく、ファミレスが洋食屋の代わりになってくれているかどうか。

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W話§ハムカツの正しい定義 [B級グルメ]

ハムカツについてはたびたび書いていることだが、常々書いていることは、厚いハムカツはいけない……豪華ハムカツは論外であるということをくどいくらいに書いておきたい。では!

あくまでも個人的な見解だが、ハムの厚さが5mmを超えるのは絶対に認められない。厚さは3mmほどで、表裏の衣が同じく3mmずつで全体の厚さは1cm以下でなくてはならない。

そもそも、肉屋の端っこで総菜として売られていた時から、ハムカツは厚くなどなかった。あるいは放課後の子どもがおやつ代わりに買い食いしていたのだから、薄くてチープと決まっていたのだ。

それが“豪華ハムカツ”だなどと、完全に本分をはき違えた存在があることは何とも嘆かわしい。

たまにB級居酒屋などでも御品書にのっているのを注文してみるが、何とも厚いのだ……厚くなければお出しするのが恥ずかしいと言わんばかりなのだが、そこまで気を遣わなくてもよろしい。正しく薄いハムカツを出せばいいだけの話で、その分お代を安くすればいいだけの話である。

くどくはなるが、この先何度でも書く。よろしいか、厚いハムカツなどとはハムカツ道から外れまくった、許されざる存在なのだ。

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麦話§スパゲッティ・ナポリタン [B級グルメ]

いかなる動機があったのか今となっては記憶の外となってしまったのだが、上京して下宿暮らしを始めた最初の2年間くらいは、朝食にスパゲッティ・ナポリタンを作っては食べていた。

親が送ってくれた仕送りは月2万円。そこから家賃と交通費を引いた残りは1万円かそんなもので、そこから食費を捻出していたのだ。下宿近くの食料品店やスーパーマーケットを回って導き出されたのが、朝はスパゲッティ・ナポリタンだったのである。

とにかく、できるだけ安い食材を使って簡単に満腹できるのが、乏しい頭で考えついたナポリタンだったということだろう。

パスタ以外に使った具はウィンナソーセージかベーコン、それに玉葱。それからケチャップを使うのだが、ベタベタ真っ赤のケチャップ大量は口に合うことがなく、味がついて軽く色づく程度が好みの仕上がりだった。合わせて牛乳をグラスに1杯……それで食い繋いでいたのだ。

今だったら、より手軽に作って食べられる食材がいくらでもあるが、半世紀近く前、インスタント物はラーメンの類、ようやくレトルトカレーが登場した、そんな時代だった。

だから今でも、外食でスパゲッティ・ナポリタンを注文することはない。どこの店で出してくるナポリタンも、なべてケチャップたっぷりのペタベタなのである。

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腿話§厚いハムカツはNO! [B級グルメ]

昔から、ハムの類は分厚いものよりは、5ミリ足らずのペラペラな厚さを好んで食べていた。

ゆえに、ハムカツもハムの厚さが1センチあるようなやつよりも衣と合わせて1センチくらいで十分なのだ。そうするとハムの厚さは5ミリくらいか。

自分自身が持つ食感からすれば、ちょうどいい塩梅で、分厚いハムの具合が悪いのは、おそらく揚げ衣とのバランスの問題ではないかと気がついたのである。

揚げ物の類は、中身と揚げ衣のバランスが重要で、口の中で渾然一体となることが望ましく、ハムカツの場合は、そのバランスにB級感覚とかチープな感覚が加わっているのではなかろうか……このことは、たった今気がついたことなのだが。

ハムカツは、衣を食べる“ついで”にハムが付いてくる。何十年もの間、気がつかなかったことが、人生の終わりを迎えるような頃になって気がつくこともあるのだ。

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仮話§町中華という括り [B級グルメ]

いわゆる“本格中華”の店に食べに行くなど……数年に一回もないだろう。

結局、暖簾をくぐってしまうのは、このところ世間で呼び方が定着したと思われるカジュアル感満載の“町中華”の店ばかりである。

個人的にはもう、定食居酒屋系という捉え方をしていて、焼き餃子などを肴にひとしきりビールや紹興酒を呑んで、締めにラーメンとかチャーハンを食べてお勘定をするというものだ。まあ、赤ちょうちんで焼き鳥や冷奴を肴に酒を呑み、焼きおにぎりで締めるのとは、また別のバージョンと考えればいいだろう。

そんな町中華が性に合っていたこともあり、まだまだ食べ盛りだった頃は、焼き餃子だけでなく、野菜炒めとかもやし炒めも肴に追加して平らげたりもしていたし、締めに食べるのも半チャンラーメンとか、炒め野菜がたっぷりのった味噌ラーメンだったりと、モリモリと健啖な時代もあったのだった。

何を言っても、町中華の敷居の低さは圧倒的で、しかも昼から晩まで通して営業しているというのもあっぱれである。

神保町時代、たまたま通い詰めていた町中華が白山通りの三幸園で、それが気に入ってしまっていたがゆえの気楽な居酒屋遣いだったのだろう。

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旨話§グルメとはとてもとても [B級グルメ]

実家があった町にある鄙には稀なフランス料理店が、オーナーシェフの高齢により3月一杯で閉店すると知った。メートル・ドテル(給仕長)をしているのは息子で、彼とは保育園以来の後輩だったりする。

一度は食べに行ってみたかったが、なかなか機会に恵まれず……そしてまあグルメなどとはお世辞にも言えない我が身ゆえ、というのも理由であるか。

大学を出て37年半、ほとんど神保町エリアの同じような空間で生きてきたわけだが、それにしては店のレパートリーが少ない。

会社生活のおよそ後半になって、ようやく午前中の出社となり、昼飯も神保町で食べ続けたのだが、横着といえば横着な性質(たち)につき、さっさと手軽に食べられる店にばかり行っていた。

手軽といえばカレーだし、神保町交差点近くには、利根そばという立ち食い蕎麦屋伝説のインディーズ店があって、週一くらいで食べていた。もちろん座って食べる店の蕎麦とは自ずと違っているのは当然だが、三百円でお釣りが来るたぬきそばに握り飯や稲荷寿司を合わせれば、十分満足だったのだ。

味覚音痴だとは思わないが、同居人と比べても明らかに舌の感覚は鈍いようだし、いくら気取ってみても、早晩“お里”は知れるに決まっている。

気がつけば、七十年近くをB級感覚で生きてきたということだ。

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B話§天かすの奇跡 [B級グルメ]

主にタヌキそばのトッピングとして愛されているのが“天かす”である。揚げ玉というのもあるが、天かすは天麩羅を揚げた後の残りであるのに、揚げ玉は、溶いた小麦粉を小さい粒状に揚げたものである。

ゆえに、天かすのほうが、様々な天麩羅の種の旨味を含んでいるので、味わいは圧倒的にあるのだ。

我が普段使いのスーパーマーケットの棚にも、有名天麩羅屋の天かすが置かれていて色々と重宝させてもらっている。

まずはもちろん、蕎麦やうどんのトッピングに使う。それからいかようにも応用範囲は広い。

ごくごく単純なのは、大根おろしの上に適量かけて、醤油や唐辛子でいただくのだが、これが酒に合ってくれるし、締めのご飯の上にのせて食べても、実においしくいただける……言わばタヌキ丼なのだ。

そして鍋物のトッピングに危険な味わいをもたらしてくれる。特におすすめなのがキムチ鍋で、小碗に取り分けたキムチ鍋の上から、天かすを軽くまぶしてやるのだが、これが恐ろしくうまい。キムチ鍋が持つ味わいに加えて、天かすの得も言われぬ旨味が食欲を持ち上げてくれるのである。

まさに“天かす恐るべし!”なのだ。

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旨話§食通でもグルメでも・・・・・・ [B級グルメ]

何かおいしいものでも食べに行きませんか?……という欲求があまりない。もちろん、まずいものよりはうまいものを食べたいと思うのは当然のこと。だが“うまいものを食べに行こう”という衝動は希薄になってきている。

それは三十代より四十代、五十代、六十代と歳を重ねるうちに、いよいよのこととなったようだ。

四十代に入った頃から、健啖とは縁遠くなっていって、何より量を食べられなくなった。だからコース料理の類だと、どれほどの量なのかがわからず、それゆえにアラカルトのほうが安心して注文できてしまう。

アラカルトとはいっても、既に“西洋料理”については既に除外されているようなもので、外での食事といえば、天麩羅定食だったり、とんかつにご飯と味噌汁が付いてというもの、後は居酒屋であったりビアバーで、小皿をつまみながらがせいぜいだから、有名グルメの店などはるか彼方の話である。

↓写真はイメージです
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そりゃあもちろん、じぶんなりに“これはうまい、これはまずい”といった好き嫌いのの基準らしきものは持ち合わせているつもりだが、仮に何ちゃらレストランに行って料理を出されても、それがうまいのかどうかわかるとは思えない。

食べる量そのものが減っているので、おいしいものを少しだけ食べられればそれでよしなのだ。

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