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暮話§ブラームス―マイカテゴリー―晩秋へ [ブラームス]

清少納言風に書くなら「秋はブラームス」である。ブラームスの芸風のようなものと季節が合致して聴こえてしまうのは自分だけだろうか……あくまでも“個人の感想”でしかないのだが。

例えばクラリネット五重奏曲。徹頭徹尾、痛切としか聴こえないその音楽が描き出す風景は、陽が斜めに傾いて世間が赤みを帯びてくる午後のそれである。センチメンタルといえば、これ以上センチメンタルな音楽があるだろうか。

もう一つ、交響曲第1番の終楽章を挙げたい。冒頭の少し後、有名な主題が始まる前の金管楽器の交唱の部分である。秋のアルプスの谷間のあちこちから角笛が思い思いに聴こえてきて、それが“こだま”で返ってきたり、他の角笛とハーモニーを奏でたり、何とも穏やかで心安らぐ祈りの音楽が現出してくるのだ。

というわけで、個人的にはブラームスといえば秋の作曲家と勝手に任命しているのだが、中には厳冬期としか聴こえない音楽もあって、交響曲第4番の終楽章を聴きながら頭の中に広がる風景は、北ドイツの凍てついた荒野で、北ドイツは、言うまでもなくブラームス出身の地なのである。

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