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街話§神保巷塵[98]一人すき焼きの店 [神保町]

[承前]

“ぼっち食”だなどと揶揄されるお一人様の食事だが、個人的には必要でない限りは、一人で呑み食いするほうがずうっと気楽と感じている。

神保町は比較的一人で食事しやすい場所ではないかと考えているが、そんな中にあって、世紀が変わる頃まで“すき焼きはらの”という一人鍋を提供する店があった。

確か一度だけ入った記憶で、カウンター一つ一つに一口ガスコンロが置かれていて、すき焼きあるいはキムチチゲなどなどを食べることができた。お勘定は1000円でお釣りがくるというお得さだった。

隣が人生劇場という名のパチンコ屋だったので、おそらくはそこのお客さんが食事をするのにうってつけということもありそうだ。

そこそこ流行っていたと思っていたが、ある日“しゃぶっち”というしゃぶしゃぶの店に変わった……そのあたりの迷走の理由はよくわからないが、それからほどなく店は閉じられてしまった。

結局今は、どうってことのない居酒屋に変貌していて……既に面影はない。

まあ、昨今は一人だろうがグループだろうが、テーブルを囲んでそれぞれが思い思いに楽しんでという、あの頃の一人すき焼きの場末感のようなものはもはや存在していないのである。

                               [続く]

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