豆話§恐怖のピスタチオ [酒肴]
宮仕えを始めた翌年の冬あたりのことだった。
車でスキーに連れていってくれる人がいて、助手席に座ったらミックスナッツを出してくれた。ひとしきりポリポリしているうち、何やら硬い殻が口の中に入ってきて、何じゃこれは?とガリガリ噛んでみたが、これがなかなか砕けない。
それでも頑張って何とか噛み砕けたが、さすがに顎が疲れて、硬い殻を避けて食べていたのである。夜の闇の中を走っていたのだ。だから暗くて中身がわからなかったこともあって、無理矢理に食べてしまったということだ。
後に、それが“ピスタチオ”というナッツで、当たり前ながら、硬い殻など食べるものなどではないとも知ったのだった。
そうだと知って以来、硬い殻から中身を取り出して食べているのはもちろんのことで、それでも殻のまま食べるほどアホではない。
そうして最近のこと。行きつけのスパーマーケットで、ちょっと高いがすこぶるおいしいピスタチオを見つけてしまったのである。これが……やめられず、夕食の時の酒肴として、紙の上に広げてはせっせと殻を割って食べるのである。
様々な意味で“恐怖のピスタチオ”なのだ。
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車でスキーに連れていってくれる人がいて、助手席に座ったらミックスナッツを出してくれた。ひとしきりポリポリしているうち、何やら硬い殻が口の中に入ってきて、何じゃこれは?とガリガリ噛んでみたが、これがなかなか砕けない。
それでも頑張って何とか噛み砕けたが、さすがに顎が疲れて、硬い殻を避けて食べていたのである。夜の闇の中を走っていたのだ。だから暗くて中身がわからなかったこともあって、無理矢理に食べてしまったということだ。
後に、それが“ピスタチオ”というナッツで、当たり前ながら、硬い殻など食べるものなどではないとも知ったのだった。
そうだと知って以来、硬い殻から中身を取り出して食べているのはもちろんのことで、それでも殻のまま食べるほどアホではない。
そうして最近のこと。行きつけのスパーマーケットで、ちょっと高いがすこぶるおいしいピスタチオを見つけてしまったのである。これが……やめられず、夕食の時の酒肴として、紙の上に広げてはせっせと殻を割って食べるのである。
様々な意味で“恐怖のピスタチオ”なのだ。
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