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頂話§歌舞伎の山あり谷あり[下] [歌舞伎]

[承前]

そんな隆盛に陰りが見えた端緒は、2012年12月に十八代目勘三郎が60歳を前に逝去したことであろう。

そして2011年から12年にかけては、大御所である富十郎、芝翫、雀右衛門が逝去した。残念だけれど、八十代から九十代で天寿を全うしたともいえる。そして、彼らの最後の光芒を観ることができたのも僥倖だった。

だが、勘三郎に続いて團十郎、三津五郎と五十代、六十代でのあまりにもな早逝が、その後の歌舞伎興行に与えた影響は小さからぬものがあったのは間違いない。彼らの死は、まさに痛恨事としか思えないのである。

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影響が顕著に表れ出したのはここ数年のこと。三津五郎が逝去した後、大看板と呼ばれる、菊五郎、白鸚、仁左衛門、そして昨年逝去した吉右衛門たちの衰えが顕著となった。

彼らの後を追うのは、五十代も近づいた幸四郎にはじまって、松緑、猿之助や勘九郎といった面々である。確かに上記の“おじさん”たちの舞台出演が少なくなった分を彼らが補わなくてはならないのだが、まだまだ若いと思わざるを得ない。

いわゆる“重み”らしきものが舞台に存在していないように思うのだ。歌舞伎役者は“老・壮・若”がうまいことバランスを取って舞台を構成するところ、今は“壮”の層が薄く、重みらしきものを感じないだ。

今の歌舞伎界は、残念ながら沈下が進んで“底”にたどり着いたところか。この先、再びの隆盛となるまでには、まだまだ時間が必要だと感じている。

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