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遊話§歓楽街で生まれ育ち [昭和]

関東平野北東端のしがない地方都市の実家で18歳まで暮らしていた。何かと便のいい町の中心部の、今にも倒れそうなおんぼろ借家に住んでいた。

すぐ西に町一番の大通りがあって商店が連なっていたが、問題は反対側のエリアである。

今にして思えばだが歓楽街というか飲み屋が林立していたのだ。当時のことゆえ、チェーン系の店など一軒としてなく、個人営業の居酒屋、バー、あるいはスナックばかりだ。その中に映画館が3館あった……洋画、東宝系、日活系が徒歩圏にあったのだ。

我が家へと入る、人と自転車程度しか通れない細い路地の途中にもバーらしきものがあり、夜になると有線放送の音楽が店内から我が家まで漏れ聞こえてきたのだった。

今の我が身であれば、鴨が葱しょって出汁を張った鍋に入っているような、そんな境遇に狂喜しただろうが、あいにくと未成年で東京に出てきてしまったから、暮らしていた当時は、何の興味も起きてはくれなかったのである。

実は……歓楽街で生まれ育ったということを如実に知ったのは、ここ20年足らずのことで、ネットで我がエリアが紹介されているようなページを見つけて読むと歓楽街であることがことさらに強調されていて、遅まきながら“そうだったのか”と改めて思い返したのだ。

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