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壽話§初春大歌舞伎~第二部~ [歌舞伎]

[承前]

デパート上のレストラン街で、高いがどうってことのない蕎麦を食べ、少しばかり買い物をしたら、ちょうど第二部の開場時刻となった。

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一本目は“坂田藤十郎を偲んで”と銘打たれた『夕霧名残の正月』が鴈次郎の伊左衛門、扇雀の夕霧。2005年、坂田藤十郎襲名披露興行で上演された作品を、昨年逝去した藤十郎を追善する舞台である。

残念ながら二人の息子……鴈次郎と扇雀は芯を務めるには魅力に乏しく、仇花のような一幕と感じてしまった。

休憩後は、お目当ての仮名手本忠臣蔵七段目『祇園一力茶屋の場』である。いつもの“由良さんこちら”の茶屋遊びや、赤垣源蔵以下赤穂浪士とのやり取りといった前半は省略。斧九太夫と鷺坂伴内のやり取りから、由良之助が釣灯籠で手紙に読み始める。

いつもの吉右衛門……とは思われず。いささか衰えたかなと感じた。全体に声が弱々しいまま安定せず、動きも重い。やはりというか膝が悪そうで、こんなところで合引を使うのかと思ってしまった。

言うまでもなく、今の大看板全員が七十代半ばに差し掛かり、とにもかくにも無理はできなくなっている。だから、そう感じてもまったくおかしくなどないが、ついつい全盛期の恰幅の大きさを思い出してしまうから、余計に今の衰えを見ると寂しい気持ちになってしまう。

そんな吉右衛門を、雀右衛門の遊女おかると梅玉の寺岡平右衛門が、折り目正しい芝居で支えていたが、やはり芯になる役者の衰えは如実に反映するものだと痛感した。

16時半終演、地下の駐車場から車を走らせて自宅に戻ったのは18時10分前。

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