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才話§モーツァルト―マイカテゴリー―明日は [モーツァルト]

明日はヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト没して229年の命日だ。

今のドイツやオーストリアと呼ばれる地域が、どれほどの作曲家を輩出したか。バッハからヘンデル、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ブラームス、ワーグナー……もちろん彼らだけが作曲家ではない。そんな中にあってモーツァルトの存在を何にたとえようかと考えるが、なかなかうまいこと思いついてくれない。

そんなことを考えるより、彼の音楽を聴けばそれで済むことなのだ。何でもいい、ピアノ・ソナタでも、弦楽四重奏曲でも、オペラでも……とにかく、聴けば“ああ、モーツァルト”と独り言をつぶやくであろう。

というわけで、クラリネット五重奏曲を聴いてみよう。1789年、彼の晩年近くに作曲された穏やかな音楽は、初冬の今頃に聴くととりわけ心に沁みる。

モーツァルトがこの音楽を作曲していたのは三十代前半、そんな彼の視線の先には、何が見えていたのだろうか。音楽は十分すぎるほどに熟成されて、むしろ五十代、六十代の人間の手になるもののような老境すら感じ取れてしまう。

生き急いだわけでないとわかるのは、1788年に作曲された最後の交響曲41番“ジュピター”の輝かしい音楽を聴けばわかる。終楽章の圧倒的な推進力は勝利そのものではないか。まさに天馬空を翔ける音楽ではないか。

寿命とはいえ、1791年12月5日にわずか35歳の生涯を終えたことは痛恨で、まだまだ汲めども尽きぬ音楽の泉から滔々と溢れ続けたのは間違いない。

追記:この日は合わせて、十八代目中村勘三郎が2012年に没した日である。我が同時代に生きた稀有な役者の早い死を、生き残った我々は悼み続けるのである。

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