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無話§鳳凰祭四月大歌舞伎夜の部~仁左玉~ [歌舞伎]

仁左衛門の体調不良で5日から7日まで休演となった夜の部に行ってきた。仁左衛門の与三郎、玉三郎のお富で『与話情浮名横櫛』……鉄板である。

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木更津海岸見染の場~赤間別荘の場~源氏店の場まで、和泉屋多左衛門を務める左團次が体調不良で一か月休演となり、権十郎に代わった。

そこにある舞台の作為のなさは驚くべきことである。大げさな身振りの演技などどこにもなく。空気の如く、水の如くの舞台がそこにあったのである。

とりわけ、源氏店の場の仁左衛門と玉三郎が対峙する様が際立っていて、お富を執拗に責める与三郎と、受け留めるお富の沈黙。歳月を積み重ねた中で培われた空気感が見事に表出されていたのだ。

何もしない……不作為の演技とはこういうものなのか。どのあたりからかは覚えていないが“芝居を観ている”という行為から離れ“事実を観ている”かのような錯覚を覚えた。

主役二人に絡む、脇の役者もまたそれぞれの持ち場を十分に熟知してアンサンブルを形づくっていて、とりわけ市蔵の蝙蝠安の下衆っぽさ、権十郎の多左衛門の落ち着きといったあたりが秀逸だったと感じる。

『与話情浮名横櫛』の後には、松緑と左近親子の『連獅子』が踊られたが、何とも残念な踊りに終始。雑といえば雑、技量不足といえば技量不足で、毛振りばかりが悪目立ちして、そりゃあ振れば振るほどお客は喜ぶだろうが、全体を考えれば、最後の毛振りの何ともな居心地の悪さを感じずにはいられなかった。そして、終演19時半というのはありがたい。

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