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過話§蚕起食桑~七十二候~小満 [七十二候]

小満の初候“蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)”である。

実家があった地域は、かつて蚕の生産地として栄えていた。物心着いた頃には、既に往時の面影はなく、廃れつつあったが、それでも少し郊外に出たりすれば、桑の木が緑の葉をつけていて、農家の2階には蚕棚があったのだ。

郊外には、年に一回か二回か遊びに行く農家のお宅があって、春に行くと、時折だったが、蚕を数匹もらって持ち帰り、段ボール箱に入れて育てたことがあった。

朝っぱら、自転車で近いところにある桑畑で葉っぱを何枚か摘ませてもらって持ち帰り、食べさせるのである。彼らの食欲は旺盛で、何日かすると葉は食べ尽されるので、そのたびに摘みに行くのだ。

そうこうしているうちに、蚕は糸を吐き出して繭を作り始める。淡々と白い糸を紡ぎ、数日で繭玉が出来上がる。

蚕は繭の中で蛹となり、しばらくすると成虫が繭玉を破って出てきて、どこかへと飛び去っていくのだった……まあ、そんな“自然観察”も、一度だけ夏休みの宿題のネタになってくれたりもしたのだった。

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