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桐話§実家があった跡は [私事]

父が死んだのは2006年11月、間もなく14年が経過する。戦争中、線路際の家は空襲の恐れがあるからと町中に引っ越して60年以上同じ借家に住み続けて生涯を終えた。

何やかんやとした家の片づけは近くに住んでいた親戚が引き受けてくれて、年明けには貸し続けてくれた大家さんにお返ししたのである。

三回忌を済ませた後、家がどうなっているか立ち寄ってみたら、見事に跡形なく更地になっていた。下のグーグルのストリートビューがそれ。

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車が2台駐まっているあたりが我が家で、3軒長屋の真ん中にあった。八畳と四畳半の二間に台所とトイレ、しかも風呂なしという狭さが物語る如く、猫の額のような敷地で、よくもまあ大の大人が何人も暮らしていたものだ。

見事なまでに内弁慶だった父は、旅行に出るなどとんでもないという人で、生涯同じ家に住み続けたのも“変化”をすることで自分のアイデンティティに変化が生じることを恐れていたとしか思えない。

家から出たくない、旅に出なくない……そんな父の環境から逃げ出したいと考えたのも無理からぬことであろう。

実家に最後に入った時、四畳半の畳の下の根太がボコボコで、今にも抜けそうになってしまって、家自体も終わりが近づいていたと知ったのである。

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