SSブログ

圧話§LPレコードのミスプレス [クラシック]

LPレコードを聴いていたので、1970年代半ば過ぎのことである。無謀にもアルバイトでもらった給料をはたきまくって、アルヒーフ・レーベルが売り出した百枚組のバッハ大全集を買ってしまった。

s669205512.2.jpg

その当時、バッハの作品はというと、ブランデンブルク協奏曲あたりとかフルートソナタ、有名なオルガン曲くらいしか知らず、いい機会だと張り込んでしまったのである。

下宿の部屋に並んだ全11巻百枚組は壮観で、さてそれでは何から聴こうかと最初に目をつけたのがマタイ受難曲……バッハといえばマタイ受難曲ではないかと、厳かにプレイヤーの針を下ろした。

1枚目A面……何やら延々かつ淡々ととオルガンの音楽が鳴り続けるばかりで、人間の声が一向に聴こえてこない。業を煮やしてB面を聴いてみると、妙なるソプラノのアリアが聴こえてきたのだが、それではA面の音楽は何であろうか。どうやらマタイ受難曲とは別物なのではないか。

購入して一か月も経たないある日、アルヒーフから一通の手紙。内容は……

「マタイ受難曲1枚目A面に、誤ってフーガの技法をプレスしてしまいました。申し訳ありません。プレスし直したレコードをお渡しします。なお、ミスプレスのレコードはそのままお持ちください」



……というもので、何とまあ間違って別の音楽をプレスしてしまったのだ。そして待つことしばし、正しくプレスされた1枚目が到着し、仕切り直し。改めてしっかり“まじめに”何度も繰り返し聴いたのだった。

《クラシックのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。