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歴話§妹背山婦女庭訓~第一部~国立劇場 [歌舞伎]

10月をもって閉場する国立劇場“初代国立劇場さよなら特別公演”大劇場の最後の2か月『妹背山婦女庭訓』のまず第一部を観てきた。序幕『春日野小松原の場』から始まって、二幕目『太宰館花渡しの場』から、三幕目『吉野川の場』まで。

序幕20分、二幕目30分と軽いが、三幕目は1時間55分の長丁場である。

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江戸時代の人たちは不思議な舞台を創り上げたと改めて思う。飛鳥時代という太古の昔の出来事を江戸時代に置き換えて、言わば“現代劇”に仕立て上げてしまった。たとえて言うなら、スーツ姿で忠臣蔵を上演するようなものではないか。

序幕……梅枝の雛鳥と萬太郎の久我之助の初々しさが際立った。梅枝は相変わらず古風な顔立ちが映える。萬太郎はやや幼く見えてしまうところが損。新悟の采女。

二幕目……松緑の大判事、時蔵の定高登場して、舞台が引き締まる。松緑のこしらえが個人的には老い過ぎていると感じてしまうが、以前2回観たのが幸四郎(白鸚)と吉右衛門だ、もちろん同じこしらえなのだが。坂東亀蔵の入鹿。

……という前菜のような短い幕2つの後、吉野川の長丁場が始まる。

三幕目……吉野川を挟んでの雛鳥と久我之助のやり取りに続いて、両花道の上手から大判事、下手から定高が。ここからが長い長い。動きも少なく思い入れの芝居が延々と続く。途中、2度3度と舟を漕ぎそうになりかかったのは内緒。

時蔵の安定感が際立つが、それに対する松緑の大判事も、時折口跡が割れるいつもの癖が出はするが、それでも抑制に抑制を重ねた息詰まるような演技は、見るべきところ多であった。そして深い慟哭の中で幕。

終演は15時半過ぎ。新宿に戻りデパートでも冷やかした後に夕食でも食べて帰ろうかと考えていたが『吉野川』の2時間ですっかり疲れてしまい、デパ地下で食料を買い込んであっさりと帰宅したのだった。

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