SSブログ

楽話§オペラ歴~短かったような~ [オペラ]

初めて生のオペラに接したのは1980年10月、ベームがウィーン国立歌劇場を振った『フィガロの結婚』日本公演で、そこから病膏肓に入ってしまった。

その年の暮れには若気の至りそのもので、ウィーンやミュンヘンを旅して、いくつかのオペラ(オペレッタ)とウィーンフィルのニューイヤーコンサートまで聴いてしまったのだ。

それから20年というもの、いわゆる“オペラ・ブーム”の波にのって、来日公演をほとんど、片っ端から観に行っていたのだ。おかげで、欧米の主要歌劇場の上演を楽しむことができたのである。

そうして、ベルリン・ドイツ・オペラの『ニーベルングの指環』通し上演、カルロス・クライバーが振ったウィーン国立歌劇場の『ばらの騎士』など、夢のような時間を満喫することができた。

そんな我がオペラ鑑賞の旅に陰りのようなものが見えてきたかなと感じたのは2002年。ベルリン国立歌劇場の『ニーベルングの指環』通し上演の頃ではなかったかと思われる。

引っ越し公演のブームらしきものは、とうの昔に過ぎ去って、徐々に来日するオペラハウスが少なくなっていってしまったのだ。

そうして最後に観た引っ越し公演は2011年のバイエルン国立歌劇場『ローエングリン』で、これを最後にして、国内でオペラを観ることがめっきり減ることになった。ついでに、新国立劇場への足もすっかり遠のいてしまった。

このところといえば、年に一度の海外旅行の折に一都市をプラスして、そこでオペラや演奏会があったら、チケットを取って行ってみようかという気楽なスタンスで、がっつかなくなってしまったのは、年齢のゆえだろうか。

《オペラのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

悼話§若山弦蔵さん(声優) [オペラ]

思い出話二つ。

1980年10月、会社からタクシーに乗っていた時のこと。ラジオからは、彼がパーソナリティを務めていたTBSラジオ『おつかれさま5時です』の終わりあたりが流れていて、いつもどおり「さーて、今夜のお楽しみですが……おっと、カール・ベームがウィーン国立歌劇場を振る『フィガロの結婚』がありますな。そして、チケットは全席売り切れ」と。そんな話を聞きながらまさにその現場に気分よく向かっていったのだ。

2008年8月、バイロイト音楽祭でホテルが一緒。ワーグナー好きの若山弦蔵はツアー客の一人として参加していたのだが、あまり目立つことのないようにというスタンスとうかがえた。

もしも話すタイミングでもあれば、1980年10月のことを話せるかと思っていたが、彼が参加したツアーは前半の『指環』四夜だけで、気がつけば『神々の黄昏』の翌朝には、あっという間にバスで去ってしまったのである。

そしてもちろん、多くの映画作品やテレビドラマのアテレコの迫力ある低音を楽しんだのだ。享年八十八

合掌

《追悼のトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

隠話§新国立劇場の風景~無残~ [オペラ]

時々、都心まで車を走らせることがある。もっぱら中央道から首都高4号線のお世話になっている。

新宿の高層ビル群が近づく手前、初台あたりにさしかかると、憂鬱な風景を嫌でも眼にすることになっていて、それが下の写真……。

shinkoku.jpg

新国立劇場を掠めるように首都高が伸びているのだ。欧米でオペラハウスといえば、その都市のランドマークの一つとしての存在となっているものばかりなのは言うまでもない。

↓ミュンヘンのバイエルン国立歌劇場
P6070077.JPG

↓ドレスデンのゼンパーオパー
P6090035.JPG

とりあえずミュンヘンとドレスデンのオペラハウスの写真を上げておくが、他の多くも、市心にあったり、町の主要な場所に建っているのはもちろんである。

東京にあるもう一つの国立劇場は、皇居沿いの隼町という風光明媚な立地にあって、それがあるべき姿なのだと思っていたのだ。

初台の新国立劇場の何とも残念な景色を見ていると、真上を首都高速道路が走る日本橋を思い出す。先に日本橋があった立地に首都高が覆いかぶさってきたので始末が悪い。

新国立劇場の場合は、先に首都高が走っていたところに立地を選んで建設したから、そんなところに建てたことは忸怩たるものがある。とにもかくにも建物の全容をまったく把握できないとは、悲しいものがあり、パフォーマンスさえ観れればそれでよしというわけではないと思うのだが。

《オペラのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

顧話§今日の歴史~それでも行ったのだ~ [オペラ]

1986年3月23日、季節外れの大雪降る。

この時のことはリアルタイムで鮮明に覚えている。前夜から降り出した春分過ぎの雪は、予想外に積もることになってしまった。

当時は多摩丘陵でも別の場所に住んでいたが、朝起きて、気がつけばとんでもない状況であることのを目の当たりにしたのである。

しかもこの日は、NHKホールでウィーン国立歌劇場『マノン・レスコー』が上演されることになっていて、確認すれば公演は行われるということだ。だがしかし、首都圏の鉄道網はほとんど運行されておらず、にっちもさっちもいかなかったのだ。

たぶん、16時過ぎだったと思うが、一部の鉄道が運行を再開し、我が家からも行けそうだということで支度をして出かけたが、雪はまだ足首の深さまで積もっていて、歩くのに苦労した。

動いていたのは小田急線の、しかも各駅。折しも卒業シーズンにあたっていて、袴姿の女子大生が難儀していた様子を目にしつつ、何とか千代田線代々木公園からNHKホールまでてくてく歩く。

ようよう到着したNHKホールに入ると、クロークなど開いておらず、あちこちにパイプハンガーが置かれて、客が上着類を勝手に掛けていたのだ。

というわけで、到着した時には既に第一幕が始まっていて、何となく忙しい中で、プッチーニの音楽を聴いたのである。指揮はジュゼッペ・シノポリでこの日が日本デビュー。マノンを歌ったのはミレルラ・フレーニである。

《歴史のトピックス一覧》
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

丘話§タンホイザー~二期会~ [オペラ]

去年は、一度もワーグナー上演に接することができなかった。おおよそ2年ぶりのワーグナーである。木曜日のマチネー公演で、会場は東京文化会館。

Tann.jpg

指揮:セバスティアン・ヴァイグレ
原演出:キース・ウォーナー
演出補:ドロテア・キルシュバウム

装置:ボリス・クドルチカ
衣裳:カスパー・グラーナー
照明:ジョン・ビショップ
映像:ミコワイ・モレンダ

合唱指揮:三澤洋史
演出助手:島田彌六
舞台監督:幸泉浩司
公演監督:佐々木典子

ヘルマン:長谷川 顯
タンホイザー:芹澤佳通
ヴォルフラム:清水勇磨
ヴァルター:高野二郎
ビーテロルフ:近藤 圭
ハインリヒ:高柳 圭
ラインマル:金子慧一
エリーザベト:竹多倫子
ヴェーヌス:池田香織
牧童:牧野元美
4人の小姓:横森由衣、金治久美子、実川裕紀、長田惟子

合唱:二期会合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団

当初、指揮をする予定だったアクセル・コーバーが入国できず、滞在していたヴァイグレに代わった。

オーケストラは、1幕こそもたついたものの、2幕以降は調子を上げて、この日はオーケストラの日と言ってもよかったと言っておく。合唱指揮は三澤洋史。オーケストラと同じく、いいハーモニーを堪能。

歌手陣について……タイトルロールの芹澤佳通は力不足がありありで、1幕と2幕は、何を歌っているのやら。辛うじて“ローマ語り”は火事場の馬鹿力で切り抜けたが、力不足は明らか。過去に聴いたタンホイザー歌手と比較しても、ここまで低水準の歌手を使わなくてはならなかったのかと呆然。

一人だけ、エリーザベトを歌った竹多倫子が安定して的確な歌声を聴かせてくれた。ヴェーヌスの池田香織はヴィブラート過剰か。

かつて、我々に“トーキョー・リング”をもたらしてくれたキース・ウォーナーの演出を期待してチケットを買ったのだが、自分的には消化不良のまま終わってしまったような気がする。

座ったのが5階席中央で、上手下手のバルコニー上が見えなかったことと、幕切れで、タンホイザーが籠状の装置を登っていって手を差し伸べたのが、エリーザベトだというのだが、それも見切れてしまって、おそらく演出における最大の見せ場がそこだったのだが、意味を受け留め切れず。

とはいえ、オーケストラと合唱がすばらしかったので“よし!”としたい。

《オペラのトピックス一覧》
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

週話§土曜恬淡~オペラは重い~ [オペラ]

定年退職このかた、オペラ鑑賞回数が激減している。とはいえ、この5年の間に、バイロイト音楽祭にも出かけているし、ミュンヘン、去年はベルリンの歌劇場にも行っている。しかも『トリスタンとイゾルデ』だったし。

ただ国内でというと、東京・春・音楽祭の演奏会形式ワーグナー上演に限られて、舞台上演は観ていない。新国立劇場にも足を踏み入れてはいないはず。

オペラを観るのが重たくなったと感じるようになったのは、ここ10年くらいではなかろうか。2011年、バイエルン国立歌劇場の日本公演が、最後に観た引っ越し上演だったのだが、そのあたりから重いと感じるようになった気がする。

ここ20年ほどの旅先で聴くのも、リートや弦楽四重奏、ピアノといった室内楽系音楽にシフトしているので、それらと比べればオペラの重さが際立っていると感じるのは無理もない。

もちろん、今挙げた室内楽にだって、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲やら、シューベルトの『冬の旅』に代表されるような“重いもの”もあるけれど、ワーグナーの後期作品の重さはちょっと別物ではないだろうか。

というわけで、旅行中にオペラを一つか二つを観るようなスケジュールを組んでみはするが、何年か前にミュンヘンで『ルサルカ』を前半で放棄して帰るような羽目にもなったりして“辛抱”する気力も弱まっているのである。

《オペラのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

愉話§オペラの引っ越し公演 [オペラ]

欧米の歌劇場による来日引越し公演に行かなくなって久しい。最後は確か、2013年のミラノ・スカラ座で『ファルスタッフ』だった。

1980年のカール・ベームとウィーン国立歌劇場来日公演に始まった鑑賞歴はほぼ30年で終わりを告げたのである。以来、国内で観るオペラは、演奏会形式の東京・春・音楽祭とか、びわ湖ホールに遠征してみたりと、散発的でしかなく、辛うじて年に一回程度を確保しているに過ぎない。

2013年とは、定年退職まであと2年という時期にあたっていて、先々がどうあったらいいかを考え始めた頃でもある……オペラ引っ越し公演のチケット代は順調に上がっていって、数万円もする最高席は論外にしても、最安席ですら2万円になんなんという状況を考えたのだ。

さすがにそこまでの経済的余裕などあろうはずもなく、さほどの未練も残すこともなく、あっさりオペラの引越し公演には行かないと決めたのである。

でまあ、国内では細々と、そして海外旅行の折にはスケジュールが合ってくれればチケットを予約して、気軽にひょいと出かける程度になった。

昨今のオペラ来日公演はというと、かつては4演目を持ってきて、滞在1か月以上で東京に加えて大阪でも上演されていたのが、今や2演目で10公演に満たないという、これもまた時勢ということなのだろうか。

《オペラのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

顧話§今日の歴史~そしてビゼーは・・・・・・~ [オペラ]

1875年3月3日、ビゼーのオペラ『カルメン』初演。

パリのオペラ=コミック座で行われた初演公演は不評に終わったようだが、その後徐々に評判となって、今日のオペラの人気演目の一つになっているのはご存知の通りである。

初演の後、ほどなくしてウィーンでの上演の打診があり、初演では音楽と音楽の間を素の台詞で語られていたのをレチタティーヴォで繋いでいくように依頼を受け、承諾したビゼーだったが、持病が悪化して初演から3か月後の6月4日に36歳で死去した。

生前は認められることの少なかった彼の作品だが、今は押しも押されぬ名作曲家の一人に列せられているのだ。

《歴史のトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog