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酔話§八月納涼歌舞伎第一、二部~勘九郎~ [歌舞伎]

東京の最高気温32.3度の真夏日。立秋を過ぎてもまだまだ暑い中を歌舞伎座八月納涼歌舞伎千秋楽の日に第一部と第二部を観てきた。

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第一部は次郎長外伝『裸道中』と『大江山酒呑童子』の二本立。まずもって勘九郎の酒呑童子が抜群のすばらしさ。萩原雪夫が十七代目勘三郎のために作り、中村屋の芸として孫の勘九郎まで引き継がれている。

前ジテの童子では、酒を呑んで狂ったように踊る様子が、圧倒的に見事……稚気と踊りの凄味に見惚れるばかり。今さらながら、歌舞伎界随一の踊り手であるのは言うまでもないが、勘九郎の踊りの中に古臭さのようなものは微塵もなく、シャープな所作の中に現代性が横溢しているように感じられるのだ。歌舞伎の舞踊を観ていてそれが感じられるのは勘九郎ただ一人なのだ。

第一部一本目『裸道中』は、かつて次郎長の世話になった一文無しの博打打ちが、自分の家で次郎長一家をもてなそうと悪戦苦闘をする……新国劇から歌舞伎舞台化された喜劇仕立て。獅童と七之助の貧乏夫婦の絡み、とりわけ獅童の弾けっぷりの居直りがおもしろく、彌十郎の次郎長が大親分らしい貫禄を見せていた。

続く第二部は、超苦手な真山青果作『新門辰五郎』は、幕末の京都が舞台。だが、これが難物。徳川将軍上洛の供として同道した新門辰五郎と会津方との確執が描かれているのだが、そこにあれやこれやと要素が盛られているので、肝腎の主筋がまったく見えない。維新の略史を知っている程度では手も足も出ないだろう。登場人物の中では獅童の山井実久なる存在がいかなるものか何とも不可解な役。およそ2時間の長丁場はきついきつい。

幸四郎の辰五郎、勘九郎の会津小鉄とも、存在感を示していたが、主要な役者が時として群衆の中に埋もれてしまい、それも芝居全体をわからないものにしていた……まあ、もう一度観るとは思えない。

最後に15分足らずの『団子売り』が、巳之助と児太郎の夫婦でさらりと軽く踊られ、真山青果の台詞劇の長さをクールダウンしてくれた。

終演は17時前で、どこかで夕食でもと予定していたが、さすがに二部通しで観たので疲れてしまい、デパ地下で惣菜あれこれを買ってあっさりと帰宅。

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