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稽話§ゲネプロに潜り込んだ件 [クラシック]

今を去ること半世紀以上前、高校生の頃のことである。細々とクラシックを聴きだすようになったが、その手段は乏しいものだった。

まずレコードプレイヤーなどないから、レコードを買って何かしら聴くなどとは考えられず、ラジオもAMだけでは、クラシックなど流れる頻度など少ないものである。

演奏会など年に一度あるかないか……そんな中、群馬交響楽団が2年連続して真夏にベートーヴェンの交響曲第9番の演奏会を催した。ようやく第九に親しみ始めたところで、これは行かずばならない!とチケットを確保した。

会場は群響の本拠地高崎音楽センターである。我が田舎町からは電車で45分ほど。気分が高揚していたのかどうかはわからないが、高崎にとんでもなく早く着いてしまった。2時間以上は早く、しかも音楽センターの前に立っていたのだ。

当然ながら時間を持て余して、ホールの周りをうろうろしていたら、正面の入口が開いていて、人が出入りしていたので入ってみたら、客席まで行き着いてしまった。そうしたら……ゲネプロ(リハーサル)が始まってしまったのである。

これは困ったと思いながら動くに動けず、あるいは係員に見つかって誰何されれば追い出されたのは間違いないが、まったくそんなこともなく、指揮者の山田一雄が登場してリハーサルが始まった。

本当に音楽を通すだけで、止めてダメ出しとかもなく、けっこうあっという間に終わったのはいいが、今度は出入口が閉まって、外に出られなくなっていたのだ。

たぶん開場まで30分くらいだったと思うが、ホワイエ隅っこの目立たないところで身を固くして会場を待っていて、お客さんが入場してきた時はほっとしたものである。

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