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天話§七月大歌舞伎~巳之助の矢橋の橋蔵~ [歌舞伎]

梅雨が戻ってきたかのようなぐずつき天気の先週木曜日、七月大歌舞伎第一部を観てきた。

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猿之助の『當世流(とうりゅう)小栗判官』通しである。一度、30年近く前の1993年に、三代目猿之助の舞台を観ているが。ほとんど記憶の外で、どんな筋だったのかをまったく覚えてはいない……強烈な記憶として残っているのは、小栗が暴れ馬の鬼鹿毛を手なづけ、後ろ足で碁盤の上に乗りというところを失敗、落馬した猿之助が後ろを向いて「幕!幕!」と指示をしたことだけである。

そんな印象ばかりが記憶に残っていて、肝腎の芝居は何も覚えてはいないのだ。

というわけで、初めて観るも同然の小栗判官である。さて、序幕から荒馬の曲乗りがある。見ものは碁盤乗りで、安全のためと失敗しないようにと、かつては使われなかった、吊り紐が用意されていて、危なげなく行われた。

二幕……照手姫が匿われている浪七(猿之助二役)宅での、巳之助の矢橋の橋蔵が秀逸。主筋とは関係なく、自由に工夫してもいい役ということか、登場してきた出で立ちと物腰は志村けんを彷彿とさせるボケっぷり。猿之助いじりに始まり、猿之助から「いい役をつけるからと言われて……それがこれ、先月は梅王丸だったし、五月は南郷力丸だった」というぐちり、そして「詫びろ詫びろ!詫びろ!!」などなど、最後は黒御簾に向かって花道の引っ込みの下座音楽への注文まで、客席を沸かせたのだ。

どうも、小栗判官は“添え物”で、脇の話がおもしろかったということになりそうな気がしないでもないが、ともあれ、全編通じて十分に楽しむことができたのは言わずもがなである。

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