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幻話§二階建ての家は [日常]

予算が許せば一戸建てもと思わないこともなかった。結果的には自分の身のほどで購えた郊外のマンション暮らしに落ち着き、そこで一生を終えることになりそうだ。都心にもう少し近ければと思わなくもないが、環境抜群だ。

多少無理をすれば一戸建てが変えないこともなかっただろう。だがそうした一戸建ては、建売でほとんど間違いなく二階建てなのである。若い頃であるならばまだしも、歳を経れば2階との往復が面倒になっていくのは間違いはなく、次第次第に2階が“開かずの間”になることだってあるだろう。

問題は、今時の建売で2階に居間があったり、浴室があったりというのを見かけるのだ。立地によっては、2階に居間があってくれれば陽当たりも良好で、ちょっと洒落ていて“ナウい”というイメージがあるのかもしれない。

だが、高齢化問題が2階の居間に対して疑問を投げかけているような気がするのである。

というわけで“願望”だけで、儚くも実現できなかったのは平屋の家を作れればということだった。家の間取りを作れるアプリがあって、我が夢の家を“設計”したことがあったのだ。それは、中庭があって、部屋や浴室、台所などが中庭を取り囲む回廊的な造りとなっていて、実現できたらさぞや興味深かったのだろうが、それを実現させるためには100坪ほどの土地が必要で、我が資金では土地すら取得できなかったのだ。

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