SSブログ

闘話§七月大歌舞伎昼の部~宙乗り中車~ [歌舞伎]

七月大歌舞伎昼の部を観てきた。三代猿之助四十八撰の内『菊宴月白浪~忠臣蔵後日譚~』を、市川中車が主役の定九郎を務めた。原作は鶴屋南北。

2307_kabukiza.jpg

早野勘平に撃ち殺されたはずの斧定九郎が、浪士討ち入りの後も生き残って御家再興のために奔走するという“義士外伝もの”なのだが、ただの外伝ではなく、あちらこちらに忠臣蔵の場面や台詞が散りばめられてのパロディー劇として楽しむものである……仮名手本忠臣蔵だけでなく、伽羅先代萩から摂州合邦辻、はては河内山の台詞まで使われていて、これはもうある程度は歌舞伎観劇経験がないと理解できない“応用編”であると思ったのだ。

もしもこれを20年前に観ていたら、訳若布だったことは間違いなく、よくも20年の間を頑張って観続けたものだと、我が身を褒めたい。



さて、塩谷(塩冶)家が高野(高)家の家宝を巡って芝居は進むのだが、主要な役を若手が務めているがゆえかどうか芝居が薄味に進んで、南北が目指したパロディーが活かされているとは思えなかった。筋立てもあっちへ飛んだりこっちへ来たりと、もっと本編に筋が通っているように作り込んでくれればよかったのに。

獅子奮迅の舞台を見せたのは主役の中車。大げさに言えば澤瀉屋存亡の危機にある中、歌舞伎役者として11年の意地を見たような気がする。前回も加古川を務めた笑也の存在感が際立っていた。猿弥の仏権兵衛、壱太郎の金笄のおかる。定九郎の父九郎兵衛を『半沢直樹』などに出演していた浅野和之が務めていたが、わざわざ新劇役者を使う必然があったとは思えず。

2307_kabukiza_chunori.jpg

上手と下手の天井にロープが渡され、下手から大凧の宙乗りで上がり、下手から最初は大凧に乗っていたのが、途中で落ちるところを傘を広げて着地。これはダイナミックな見ものであった。

《歌舞伎のトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。