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懐話§昭和三十年代~公益質店~ [昭和]

[承前]

何というか、子供心に貧乏だと感じさせられ続けた実家だったが、たぶんおそらく親が質屋に通っていたという記憶はない……子どもに知られないようひそかに通っていたかもしれないが。

小学校への通学路にも質屋が一軒あって、店の入口が見えないように設えられているので、人目をあまり気にせず入れるようになっていた。もちろん、質屋がそういうところなのだと知ったのは後年になってのことである。

そんな質屋だが、生まれ故郷の町には一軒の“公益質店”が存在していた。詳しいことはわからないが、市が経営母体となっていたのだ。他の質店より質草を高い値段で預かっていたのかは知らないが、入口の前には塀が伸びていて“プライバシー”には気を遣っていたようだ。

なぜ、公益質店なんてものがあるのかを知っていたのかというと、小学校の同級生の母親が質店を任されていたのである。シングルマザーだったので、そうした仕事はありがたいことだったに違いない。
                               [続く]

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