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血話§紙で手を切る [日常]

気がつかないうちに手の指が切れていることがある。どうしたかなと思い返してみると、どうやら紙が犯人だったということがしばしばある。

宮仕えをしていた頃は、もっぱら紙絡みの仕事をしていたので、これがけっこう被害に遭っていた記憶なのだ。

何が何と言って“気がつかないうちに”切れていたということも少なくなくて、いったいいつも間に?と首を傾げることもあった。

さらに嫌なこととして、誤って切ってしまうところをリアルタイムで見てしまうというもので、これはもう落ち込んでしまうことはなはだしいものがある。

ふにゃふにゃな紙が、ある瞬間に鋭利な刃物のごとく襲いかかって、見事な直線の筋傷を柔肌に刻み付けていく様子を眼にすると、自分の迂闊さを腹立たしく思うと同時に、ほんのちょっとした弾みで紙が凶器となる瞬間を目の当たりにして背筋を凍らせるのだ……ゾクゾクっ!

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