才話§図画工作～ダメダメ～

小学校の時は図画工作、中学で美術と教科名は変わったが、いずれにしても苦手だったことに変わりはない。

絵を描くのが下手だった……まったく描けないと言ったほうがいいだろう。物の形を掴み取ることなどまるでできず、色彩感覚も皆無としか言えない。描き上がった我が手になる作品は、ひと目見れば“悲惨”の一語である。

当然ながら、通知表に記された成績も相応なもので、一段と低め安定だったのだ。

根気がないというか、横着というか、画用紙の中すべて絵具で色をつけろというのが教師の教えだったところ、そういう作業もまた苦手だったようで、真ん中に対象物を描き、それにはしっかり色をつけたけれど、その周囲はおざなりそのもので、注意されたこともあった。

何とも惨憺たる画力の持ち主なのだが、不思議なことに“映像”の記憶力は別なようで、人の顔を記憶することは得意だったりする。頭のどこかにデータベースがあるようで、ひょいと眼にした見知らぬ人でも、その後どこかで出会っても“あの時のあそこで見かけた人！”という再現ができてしまう。

だが、それは脳内だけに限られた能力で、それを似顔絵の如く書いてみろと言われても、情けないことに無理な相談なのである。

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