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創話§交響曲とその“楽章” [クラシック]

交響曲とは、げに不思議な音楽である。

ソナタ形式の第1楽章、そして入れ替わることもあるが、第2楽章は緩徐、第3楽章はメヌエットかスケルツォ、終楽章はロンド形式……これはまあ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンといった古典派音楽の作曲家たちの約束事で、ロマン派になると徐々に崩れていって、5楽章構成の交響曲も珍しくはない。

さて、作曲家は4つの楽章をどのようなイメージで作曲し、一つの交響曲としてまとめていくのだろう。

もっとも単純なのは、一つのモチーフ――メロディーとかリズムとか――を各楽章に共通して用いることで、これはベートーヴェンの交響曲第5番を聴けば、第1楽章冒頭の“ダダダダーン!”が全楽章を通して使われている。

ベートーヴェンは“運命の動機”をこれでもかとばかり執拗に使い続けて、いやでも我々の脳髄に刻み込まれてしまう……恐るべき手管ではないか。

そしてロマン派の作曲家の交響曲はといえば、古典派の形式は影を潜めてしまうわけで、どのような手法で楽章を作曲し一つの交響曲にまとめていくのだろう。

ブラームスは4つの交響曲を作ったが、そのどれもメヌエットやスケルツォの三拍子舞曲の楽章を置かなかった。そして、ただ漠然と聴いているだけの我々には、ブラームスがどのような発想で交響曲を形作っていったものか、想像することはできないのである。

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