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花話§菊之助の義経千本桜[Cプロ] [歌舞伎]

尾上菊之助の『義経千本桜』三本立て公演の千穐楽を観てきた。最終日は、[Cプログラム]四段目『道行初音旅』と四の切『河連法眼館の場』である。

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よかったのは道行のほうで、ふっくら穏やかな時間が流れていった。時蔵の静御前が穏やかさの源と言えばいいか、舞台全体が、静に収斂していったと感じた。菊之助の忠信も義経千本桜の中では一番の“任”ではなかろうか。

合わせて、彦三郎の逸見藤太がメリハリのある台詞と動きで締めてくれた。

それに比べると河連法眼館は、どこか段取りが見えてしまったように感じられ、小さくまとまってしまっていたような印象がある。

理由は至極簡単で、最初に見た狐忠信が澤瀉屋の外連味たっぷりの舞台だったからである。猿之助がこれでもかこれでもかと繰り出す仕掛けとスピード感に比べれば、仕掛けも少なく品がいい音羽屋型の忠信は物足りなくなってしまう。

時に歌舞伎にカタルシスを求めたくなるわけで、そうなると澤瀉屋の忠信の宙乗りの幕切れは、それを満たしてくれる。

三人だけの悪僧も物足りず、一昨年に予定されていた小劇場ならまだしも、大劇場だったら6人くらいは出してもよかったのではないか。

父菊五郎が義経で登場。馥郁たる空気を醸し出していた。楽善の河連法眼、吉弥の法眼妻飛鳥。後半の義太夫は葵太夫……歌舞伎座昼の部との掛け持ちである。

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隼町の国立劇場は1966年に開場したが、56年を経て老朽化が進み、来秋には閉場、建て替えが行われるのだ。

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