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想話§今年の歌舞伎を回顧する [歌舞伎]

今年は、歌舞伎に17回通った。正月の浅草歌舞伎と、つい先日に観た国立の『蝙蝠の安さん』以外は歌舞伎座で15回。

記憶に残るのは、やっぱりというか七十代半ばにある立役大看板の吉右衛門や仁左衛門といった人たちの濃密な芝居だった。何度か書いていることだがかつて……明治時代やそれ以前は平均寿命が五十代にすら達してはおらず、当時の歌舞伎と今とはまったく違った舞台ではなかったかと想像している。

おそらく、三十代や四十代の役者が中心となっていて、だから“円熟”とは言えない代わりに、フレッシュで勢いのある歌舞伎ではなかっただろうか。タイムマシンがあるなら、その頃の芝居小屋を覗いてみたいものだ。

それはさておき21世紀の歌舞伎は、長寿化に伴う“役者の円熟”を楽しむ時代ということではなかろうか。

そんなわけで、記憶に残っているのは仁左衛門の『盛綱陣屋』(3月)、仁左衛門の『実盛物語』(4月)、吉右衛門の『梶原平三誉石切』(6月)、菊五郎の『梅雨小袖昔八丈―髪結新三―』(11月)といった舞台である。

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新作は三谷幸喜の『月光露針路日本―風雲児たち―』は観たが、12月に新橋で上演された菊之助の『風の谷のナウシカ』は観ず。

そして、染五郎をはじめ、猿之助、勘九郎といった若手の台頭を期待したいが、気になったことは役者の過重労働である。7月の歌舞伎座では、主演の海老蔵が4日間にわたって病気休演ということがあり、12月の『風の谷のナウシカ』では菊之助が負傷し、この日夜の部が休演となってしまった。

彼らのような中堅どころの成長が歌舞伎興行にとっては何より必要なことだが、過密スケジュールとの兼ね合いをどうつけていくかだが、これは本当に難しい問題と思われる。
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