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懐話§昭和三十年代~貸本屋~ [昭和]

[承前]

かつて、町内に“貸本屋”の一軒、二軒があった時代を覚えている。実際によく借りてもいた。10円とか20円で、主に漫画の単行本を数日借りることができた。

昭和三十年代当時月刊漫画誌はあったが、ちょうど過渡期にあったようで、月刊の少年画報を購読しながら、その合間に貸本屋を利用していたのだ。

町内に一軒、二軒と書いたが、住んでいた場所が町中だったから、それだけ何軒も貸本屋があったのだとは思う。二軒が同じ品揃えということはなく、卸元が違っているので、違う品揃えになるようである。

記憶ははっきりしないが、作者は当時でも知られた人たちというわけではなく、多くは無名の漫画家と言ってよかったかもしれない……中にはそこから雑誌連載をするようになった人もいたようだが。

そんな町の貸本屋が気がつけば姿を消したのは、1959年(昭和34年)3月17日という同じ日に、週刊漫画雑誌の少年サンデーと少年マガジンが創刊されたのとほぼ同じタイミングなのだった。

……今でも、貸本屋の引き戸を開けて店に入った時の饐えた匂いが記憶から甦ってくるのである。
                               [続く]

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