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忍話§父は従軍した [昭和]

昭和の年数と年齢が同じだった父は、第二次世界大戦の終戦2年ほど前に、召集令状を受け取り“陸軍”に応召した。18歳とかそんな年齢で、それまで行ったこともない大阪は枚方まで行かされたようだ。

そこでどんなことをしていたのか、詳細なことは聞いたことがない。自慢話をしばしばしていた人だから、話したければ自分のほうから話し出しただろうし、そうすればこちらからも聞きたいことが思いついたかもしれない。

枚方は大阪の府心からは少しばかり離れていたから、米軍の空襲に遭うこともなく過ごしていたと思われる。軍隊生活がどんなものだったかについてもまた知る由もない。

上等兵で終戦を迎え、二十歳になった秋には群馬まで復員できたようだ。幸いにして実戦に直面することもないまま、無傷で帰郷してきたわけで、これ以上の僥倖などなかっただろう。

戦後は手先が器用だったからか、そうした仕事に携わったが、なかなか腰が座ってくれず、しばしば職を変わることを余儀なくされて、本人にとっても不本意なことだっただろう。結婚して子どもが生まれても、勤めた会社が潰れたりして、ようよう定職につけたのは40歳になったばかりの頃。そこから定年退職するまで20年ちょっとを勤めあげた。

復員して以来、オンボロ長屋に61年もの間住み続け、亡くなったのは2006年11月のことである。

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タグ:昭和 私事 戦争
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