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過話§上京五十年~幼なじみなる・・・・・・~ [東京]

東京に出てきて半世紀……もっとも縁遠い言葉の一つに“幼なじみ”なるものがあって、当然ながら近くに幼なじみなど住んでいるはずもない。

おおよそ、幼なじみとは幼稚園から小学校あたりを一緒に過ごしたあたりを指してのことだと思うが、そうして考えてみるならば、何人かの顔を思い浮かべることはできる。

だが、彼らと顔を合わせる機会はほとんどない。20年近く前に中学校の合同クラス会に出た時とか、後は東京在住の高校同級生の呑み会で、保育園以来の幼なじみと会ったくらいか。

ずうっと生まれた土地に住み続けてでもしなければ、幼なじみとは縁遠いままでしかない。SNSで同級生の様子を眺めるなら、地元民同士でけっこう会って酒を呑んだりしていたりしている。

同級生の訃報もそんなあたりから知らされて……まだ還暦を過ぎたばかりとかの死を惜しむことになるのだ。そうして思い出す彼らの顔は中学生の時のまま。そうして、故郷を離れて半世紀の今、しみじみと思い知る言葉が……

故郷は 遠きにありて 思うもの

……なのだ。

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