SSブログ

飛話§フライング・ブラヴォー考 [クラシック]

特にオーケストラの演奏会で、常識的な聴衆が眉をひそめることに、音楽が終わるや否や叫ばれる“フライング・ブラヴォー”がある。

あたかも「俺が一番!」いや「私が速い」と競っているのではとすら思ってしまう。本人は満足だろうが……一度、叫んだ本人に訊ねてみたいものだ。

個人的には、音楽が終わって残響が消えて一呼吸したところでブラヴォーなり拍手なりをするものだと思っている。ましてや、それまで鳴っていた音楽に感動でもしているのだったら、音楽が終わった瞬間にブラヴォーや拍手などできようはずなどないのではなかろうかというのが、昔から考えていたことなのだが。

だから、瞬速ブラヴォーは音楽に感動などしてはおらず、ひたすら音楽が終わった瞬間を待っているのだとしか思えない。

あるいは“多様性”みたいな理屈を持ち出してくるかもしれないが、そんなものが多様性だと言われたら、多様性に申し訳ないではあるまいか。

いつだったか、フライングブラヴォーを聞いた時、これは美術館に展示されている絵画に、マジックか何かを使って汚すような行為と同じではないかと思ったのだ。音楽の中に不要な雑音を入れ込む……そんな行為なのである。

ありがたいことに、コロナ禍の中で開かれる演奏会はマスク着用で、拍手のみ。さすがにフライング拍手は聞かずに済んでいるようだ。

《クラシックのトピックス一覧》
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。