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住話§実家の未練 [私事]

18歳で実家に別れを告げた身にしてみれば、何歳になっても実家が実家がと拘り続ける人のことが理解できない。まあ、我が実家は昭和初期に建てられた思しき、見事なオンボロボロボロのしかも借家だから、拘る理由など見つかるはずもない。

これがもし、百坪の土地とそこそこの家がというのであれば、あるいは、話は別かもしれず、そのあたりが運命の分かれ道であったのかもしれない……などというはずなどはなく、そんな仮の問いに対する答えなどもないのだ。

要するに“実家”にまつわるあれやこれや、父親であったり、実家のある町であったり、そうした要素が合わせ技となって、距離を取るという選択をしたのだった。

まあ、町そのものに対しては、それほど忌避する理由はないが、50年近く前に、現役合格ならず一浪が決定し、東京で独り暮らしをスタートした最初の日の夜、一人快哉をあげたことは鮮明に覚えている。いかに“家”なるものが束縛としての存在であったか、そしてそこからの解放であったか、実家に未練を抱く人たちのことが今だに理解できないのはそういうことである。

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タグ: 東京 私事
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