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仮話§実は預かり物であった [私事]

金を払って入手したり、人から譲られたりして“自分のもの”となったあれやこれやだが……実はまったく“自分のもの”ではないことに気がついた。

確かに、自分が生きている間は“自分のもの”だが、自分が死んでしまったら、天国にそれらを持って行くことなどはできないのだ。

何も、欲得ずくでそういうことを言っているわけではない。どうしてそんなことを言いだしたのかといえば、ちょっとした趣味の産物を所有しているからである。

貪欲な収集癖にはほど遠いが、これまで30年以上かけて集めた、17世紀の銅版画家マテウス・メリアンの都市図を数点持っていて、それらを額装しては飾っている。銅版画であるから、ちょっとマメにドイツあたりのアンチック版画の店を訪ね歩けば、目指す版画は必ず見つかるのだ。そして値段も手頃で、小遣い+αも出せばいいから、お財布にも優しい。

そんな、自分にとってのお宝も、いつか時が来れば“別れ”がやって来て、離れ離れになってしまう……そうしたことに気がついたのは、たぶん五十代になった頃ではなかっただろうか。

お金で購いはしたが、それらはすべて束の間の借用に過ぎなかったのだと、そうして預かっていられるのも、あとどれくらいの時間なのだろうか。

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タグ:私事 人生 日常
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