芋話§明治座十一月花形歌舞伎~勘九郎~ [歌舞伎]
明治座で歌舞伎を観るのは、2011年5月以来だから何と13年ぶり。昼の部を観る。演目は菅原伝授手習鑑『車引』から『一本刀土俵入』が1時間半、そして『藤娘』まで。11時開演、14時20分終演と気楽なスケジュール。
さて『車引』から……座った席は2階右寄りで義太夫の床は見えない、そうであるからか、義太夫の声が届いてくれないというアコースティックに戸惑う。橋之助の梅王丸は声、所作ともピントが合わず。鶴松の桜丸はていねいな舞台で抜擢に応えた。存在感を示したのは彦三郎の松王丸で、彼の持ち味と役がマッチしていた。
続くメインの『一本刀土俵入り』は、勘九郎の駒形茂兵衛、七之助のお蔦という兄弟の顔合わせ。2020年に明治座で上演するはずがコロナ禍で中止……そのリベンジとも言える。
前半、朴訥そのものの茂兵衛の描写がいかにも勘九郎らしい。七之助のお蔦との絡みの情感も濃く、つい去年9月に観た時の幸四郎と雀右衛門の薄さを思い知らされた。後半、侠客になってからは、もう一段凄味のようなものが欲しいと思ったが、それは勘九郎のシャープさゆえであろう。1時間半の舞台を飽きずに楽しめた。
一つ気になったのは、茂兵衛が話す上州弁のアクセント……どちらかといえば栃木や茨城に近いアクセントで話されていたが、上州弁はむしろ江戸弁に近いと群馬出身者は感じている。江戸時代のアクセントまではわからないがそのあたりどうだったのか。
最後、米吉の『藤娘』だが、これが冗長そのもの。情感もコクも乏しくて、20分ほどの長かったこと。要精進である。
《歌舞伎のトピックス一覧》
さて『車引』から……座った席は2階右寄りで義太夫の床は見えない、そうであるからか、義太夫の声が届いてくれないというアコースティックに戸惑う。橋之助の梅王丸は声、所作ともピントが合わず。鶴松の桜丸はていねいな舞台で抜擢に応えた。存在感を示したのは彦三郎の松王丸で、彼の持ち味と役がマッチしていた。
続くメインの『一本刀土俵入り』は、勘九郎の駒形茂兵衛、七之助のお蔦という兄弟の顔合わせ。2020年に明治座で上演するはずがコロナ禍で中止……そのリベンジとも言える。
前半、朴訥そのものの茂兵衛の描写がいかにも勘九郎らしい。七之助のお蔦との絡みの情感も濃く、つい去年9月に観た時の幸四郎と雀右衛門の薄さを思い知らされた。後半、侠客になってからは、もう一段凄味のようなものが欲しいと思ったが、それは勘九郎のシャープさゆえであろう。1時間半の舞台を飽きずに楽しめた。
一つ気になったのは、茂兵衛が話す上州弁のアクセント……どちらかといえば栃木や茨城に近いアクセントで話されていたが、上州弁はむしろ江戸弁に近いと群馬出身者は感じている。江戸時代のアクセントまではわからないがそのあたりどうだったのか。
最後、米吉の『藤娘』だが、これが冗長そのもの。情感もコクも乏しくて、20分ほどの長かったこと。要精進である。
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朋話§同世代との会話 [コーヒー]
一か月ほど前、ご近所に住んでいることが判明した大学同期(別学部)の同い年と一時間半ほどコーヒーを飲みながら歓談した。
やっていた仕事も少しばかり近しい業態であること、それと趣味も似通っていたようで、あっという間に時間が経ってしまったのだ。
何より年齢が同じということは、共通体験がほとんど重なっていたりして、おもしろいほど話は弾んだ。最初の話題は、1980年代半ばにワープロが会社に導入され……たと思ったら、世紀が変わる頃にはパソコンに取って代わられた……でニヤリとした後は、クラシック音楽とオーディオの話へと伸び、それが一転シャンソンへと移っていったのである。
もちろん、同い年だからといってここまで話題がシンクロするケースが多いとは限らない。ここまで合うことなどはほとんど稀でしかない。
さてそろそろということろで最後に出てきた話題が、庄司薫の芥川賞受賞作である『赤頭巾ちゃん気をつけて』で、あまりに中身の鮮度が高いばかりに自分が書く文体まで庄司薫のそれと似通ってしまったというところで大笑いでお開きとなった。まさに同時代を共有していたことを確認したのである。
《私事のトピックス一覧》
やっていた仕事も少しばかり近しい業態であること、それと趣味も似通っていたようで、あっという間に時間が経ってしまったのだ。
何より年齢が同じということは、共通体験がほとんど重なっていたりして、おもしろいほど話は弾んだ。最初の話題は、1980年代半ばにワープロが会社に導入され……たと思ったら、世紀が変わる頃にはパソコンに取って代わられた……でニヤリとした後は、クラシック音楽とオーディオの話へと伸び、それが一転シャンソンへと移っていったのである。
もちろん、同い年だからといってここまで話題がシンクロするケースが多いとは限らない。ここまで合うことなどはほとんど稀でしかない。
さてそろそろということろで最後に出てきた話題が、庄司薫の芥川賞受賞作である『赤頭巾ちゃん気をつけて』で、あまりに中身の鮮度が高いばかりに自分が書く文体まで庄司薫のそれと似通ってしまったというところで大笑いでお開きとなった。まさに同時代を共有していたことを確認したのである。
《私事のトピックス一覧》