懐話§昭和五十年代~街の定食屋~ [昭和]
[承前]
大学に通っていた頃は町場の定食屋で食べるなど、とてもとてものことで、就職して、少しばかり余裕ができたところで、定食屋なるものに足しげく通う時期があった。
大学を出て最初にアパート暮らしをしていたのは荻窪。駅前には定食屋が何軒か店を出していて、どこも店内は4人掛けテーブルが4つか6つ、それと5人くらい座れるカウンターがという小ぢんまりな店である。
ビールの大瓶を1本、それから冷奴とかほうれん草のお浸しといった小鉢物をつまんでひとしきりだが、そこからさらに日本酒へと進まなかったのは、予算の関係が大きい。
ビールが終わりそうになる頃に注文するのは、焼肉定食とかハムエッグ定食みたいな定食物。ご飯は大中小と選べるが、大学を出た頃でも大盛り辞さずとはならず、ほぼ中盛りで推移していた。ちなみに今は、小盛りオンリー。
暮らし始めて40年を超えた地域は、環境良好ではあるけれど、こと外食に関する限りは質も量も明らかに不足している。だから、町場の定食屋のような存在などは望むべくもない。
[続く]
《昭和のトピックス一覧》
大学に通っていた頃は町場の定食屋で食べるなど、とてもとてものことで、就職して、少しばかり余裕ができたところで、定食屋なるものに足しげく通う時期があった。
大学を出て最初にアパート暮らしをしていたのは荻窪。駅前には定食屋が何軒か店を出していて、どこも店内は4人掛けテーブルが4つか6つ、それと5人くらい座れるカウンターがという小ぢんまりな店である。
ビールの大瓶を1本、それから冷奴とかほうれん草のお浸しといった小鉢物をつまんでひとしきりだが、そこからさらに日本酒へと進まなかったのは、予算の関係が大きい。
ビールが終わりそうになる頃に注文するのは、焼肉定食とかハムエッグ定食みたいな定食物。ご飯は大中小と選べるが、大学を出た頃でも大盛り辞さずとはならず、ほぼ中盛りで推移していた。ちなみに今は、小盛りオンリー。
暮らし始めて40年を超えた地域は、環境良好ではあるけれど、こと外食に関する限りは質も量も明らかに不足している。だから、町場の定食屋のような存在などは望むべくもない。
[続く]
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転話§ニーベルングの指環がディスク一枚で [クラシック]
四夜で演奏時間15時間に及ぶワーグナー畢生の大作『ニーベルングの指環』を、直径12cmのたった一枚のディスク(ブルーレイオーディオ)に収めて発売されるという。
40年ちょっと前にCDが発売された時、ベートーヴェンの第九がCD一枚に収録されたことに人々は驚いたが、これはもはや、そうした領域をはるかに凌駕してはいないか。技術はここまでデータを圧縮できるようになった。
日本のリスナーの多くは今だにディスク信仰を持ち続けていて、だから自宅に“ブツ”としてのCDをコレクションすることで“安心”している節がある。まさに唯物信仰そのものである。
だが、欧米世界では、ディスクを所有するよりもサブスクでデータを外部から取り込むディスクレスが浸透してきている。事実、ドイツ&オーストリアを旅行する時に借りたレンタカーだが、最後の3年ほどは、カーオーディオにCDプレイヤーは装備されておらず、iPod touchやiPadなどのメディアを接続して音楽を再生するようになっていて驚いた。
自分自身は、そうした状況までは何とか対応することができたが、いよいよ現実は想像の域を超えてしまった。そんな15時間のディスクを再生し嬉々として聴くような気力はないし、そうした再生装置を新たに誂えるつもりも持ち合わせてはいないのだ。
《オペラのトピックス一覧》
40年ちょっと前にCDが発売された時、ベートーヴェンの第九がCD一枚に収録されたことに人々は驚いたが、これはもはや、そうした領域をはるかに凌駕してはいないか。技術はここまでデータを圧縮できるようになった。
日本のリスナーの多くは今だにディスク信仰を持ち続けていて、だから自宅に“ブツ”としてのCDをコレクションすることで“安心”している節がある。まさに唯物信仰そのものである。
だが、欧米世界では、ディスクを所有するよりもサブスクでデータを外部から取り込むディスクレスが浸透してきている。事実、ドイツ&オーストリアを旅行する時に借りたレンタカーだが、最後の3年ほどは、カーオーディオにCDプレイヤーは装備されておらず、iPod touchやiPadなどのメディアを接続して音楽を再生するようになっていて驚いた。
自分自身は、そうした状況までは何とか対応することができたが、いよいよ現実は想像の域を超えてしまった。そんな15時間のディスクを再生し嬉々として聴くような気力はないし、そうした再生装置を新たに誂えるつもりも持ち合わせてはいないのだ。
《オペラのトピックス一覧》