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懐話§昭和三十年代~駄菓子屋~ [昭和]

[承前]

さて小学生時代、放課後のお楽しみは駄菓子屋に行くことだった。ランドセルを放り出し、家から路地を出れば目の前に駄菓子屋があったのだ。

その当時、どこの町内にも駄菓子屋の一軒はあって、子どもの溜まり場なのだった。

当時は着色料だの保存料だのがはびこりまくっていて、そんな存在など知るはずもなく勝手放題に駄菓子を口にしていて、それでも成長していたのだ。そこでひとしきり時間を過ごせば、渋々家に戻って宿題に手を付けるのである。

そんな実家近くの駄菓子屋だが、夏になるとかき氷屋に変貌する。店の一角に手回しのかき氷機を置いて、赤、緑、白のシロップをかけて1杯10円だ。

他の駄菓子屋では、冬場になると火鉢の上に鉄板を置き、水で溶いただけの小麦粉に醤油を垂らしたタネを1杯10円で売り“もんじ焼”と称してガキ共の佳きおやつとして他愛なく焼いて食べていた……そんな生地にあれこれの具を入れたのが後に“もんじゃ焼”となったのだろうか。

このところテレビで駄菓子屋が取り上げられているの見て、自分たちの昔を思い出していたのである。
                               [続く]

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