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拙話§フルート~大学に入ったら・・・・・・~ [フルート]

所詮は“井の中の蛙”の地方出身者ということだった……大学に入って、講義以外に出向いたのは、管弦楽部の部室だった。中学校を卒業する頃から、フルートを吹き始めていて、独学ではあったけれど、まあまあ指も動くようになってくれたのを勘違いして、それで大学に入ったらオーケストラにと考えたのだ。

それが井の中の蛙と思い知るまでに一週間もかからなかった。みなさん上手なのである。そしてフルート人口は多く、一学年4人か5人の腕っこきがゴロゴロいた。あまつさえトップクラスは(彼も地方出身者だが)、大学オケから選抜されるジュネスのメンバーに選ばれたりもしていた。

そんなわけで、技量の優劣などたちどころにわかり、今度は身の振りかたを考えなくてはならなかったが、まずもって木管、金管セクションは競争率が高く、残された選択肢は弦楽器でも、ヴィオラかチェロあたりで、そうすると楽器の調達を考えなくてはならない。

さらにわかったことだが、夏休みには合宿に加えて地方を巡回して移動音楽教室みたいなこともやるのが恒例なのである。

貧乏大学生で、夏休みはアルバイトしてとか考えていたが、オーケストラに入っていては、アルバイトはできないばかりか、干上がってしまうのは火を見るより明らかだった。

そして……数少ない可能性がすべて潰え去ってしまった6月、未練などなく潔く退部を申し出て、2か月在籍した管弦楽部員が一人消えていったのだ。

《オーケストラのトピックス一覧》
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