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廻話§緑の海の街の今 [日常]

開発が始まって半世紀になろうとする我がエリアである。元々は田畑と林のエリアだったが、開発によって大規模団地が建ち、地域ごとに学校や商店街が設備された。

そうして、その当時の写真を見ると、団地や小学校などの周囲にはようやく植栽が施されたばかりで、あたかも禿山の如く、直射日光に当たりっぱなしだし、寒い北風は吹き放題の荒涼とした世界だったことに驚かされたのだ。

そんな地域も40年経てば、木々は成長して鬱蒼とした緑の海が出現し、まさに緑蔭都市の名にふさわしいと言えるまでになったのである。

確かに、地域が誕生して以来住み続けてきた人たちには高齢化が進み、死を迎える人も増えてきた。そうして町もまた相応に老いていっているのだが、何よりかけがえがないのが、そうして淡々と成長を続けてきた緑の木々たちなのだ。

もちろん、半世紀も経てば元気だと思われていた木々も老木となり、中には病気になって朽ち果て、春になると咲き誇って楽しませてくれていた桜の木も気がつくと切られてなくなってしまっていたりする。

半世紀という月日は様々な営みを繰り返しつつ、成長から喪失、そして再生へと連なっていくということだ。

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