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丼話§どんぶり飯 [米]

老いて、すっかり少食――食欲がないわけではない――になってしまった。それでも大学生くらいの頃は、どんぶり飯辞さずな食欲はあったのだ。

よく食べていたなあと思い出すのは、山小屋でアルバイトしていた大学時代で、尾瀬沼東岸の山小屋でバイトしていた2年間、土曜日になると決まってカレーが出るのだった。

自分ばかりではない、若い食べ盛りの連中が、一日の仕事を終え、腹ペコで従業員食堂になだれ込むや、どんぶりにご飯をてんこ盛りにし、なみなみとカレーをかけるや、それを3杯、4杯と……文字通り“カレーは飲み物”なのである。

さすがに4杯とはいかなかったが、3杯は軽々と食べていたはずだ。そんな時代もあったのだなと、およそ半世紀ほど前を思い出しては“うへっ!”と喉に違和感を覚えてしまう。

大学を卒業して宮仕えを始めた頃には、人並みの食欲となり、そりゃあ……蕎麦屋のランチでかつ丼と蕎麦のセットを頼むくらいのことはして、平然とどんぶり飯を平らげていたのだが、今はどんぶりの器を見るのもちょっとという体たらくなのだ。

ただ、ちなみに我が家でご飯を食べる時は、ご飯茶碗より大きく、どんぶりより少しだけ小ぶりな茶碗を愛用しているだが。

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