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別話§終活のおはなし~継ぐものは~ [終活]

[承前]

商売でもやっていたのだったらともかく、しがない公務員だった父親から、物的な何かを引き継いだなどということは一切ない。

そもそも“後を継ぐ”などという言葉など何の意味も為さないような家庭環境だったのだから、まあそんなものである。そして、子どもを持たなかったので、先々に引き継いでもらう存在もなく、持てる物はしかるべくどこかへと散逸していくことになりそうだ。

KEN05081.JPG

自分なりに気に入って集めたヨーロッパの銅版画古地図は10点ほどになっていて、ささやかなコレクションとして壁を飾っている。だが、そうして集めたものも、我々の死後の行き先を考えてやらなくてはという時期が近づいてきたと感じる。

ではいつに?と思っても、そのタイミングがわからない。せっせと買い集めはしたけれど、自分がこの世から消えた時点で、それらは自分のものではなくなる……金を払って購いこそしたけれど、実は永遠の所有などあり得ず、生きている間だけの“借り物”であったことに気がつくのだ。
                               [続く]

《老化のトピックス一覧》
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