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週話§日曜流転~芝のぶの八汐……歌六休演~ [歌舞伎]

『マハーバーラタ』から半年後、まさか芝のぶの八汐を眼にするとは思いもしなかった。

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5月20日、中村歌六が体調不良で休演。松島を務めていた中村芝のぶが代役として八汐を務めると知った。ならば一幕見席でと、12時に発売が始まる翌日の幕見席を慌てて確保。勇躍そして久々に天井桟敷からの観劇である。

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そして席につけば、いつもであれば外国からのお客さん度が高い幕見席であるところ“同好の士”が勢ぞろいしたようで、幕が開く前から不思議な一体感に包まれたのだったのだ。

それにしても、よもや芝のぶが八汐を務めるとは……『マハーバーラタ』について書いた時は、ほんの軽口のつもりだったし、そもそも八汐は立役が加役として務めるもので、これまでも段四郎、仁左衛門、そして今回の歌六といった立役の面々を観てきて、真女形が八汐を務めたのは観たことがない。

だが、まさかの芝のぶ抜擢代役とは。そんな幕見席急遽参上連中が固唾を呑んで見守る中、芝のぶの八汐が登場。立役の八汐が“作り物”だったのに比べると、芝のぶの八汐はまさに悪女がそこにいる“女度”の高い、怖さ満点のファム・ファタール(魔性の女)なのである。そして芝のぶ渾身の舞台である。いつか本役で観ることができるだろうか。

かくして幕見席の一体感の中、我々は“芝のぶの八汐”を見届けることができた。あらかじめチケットを買っていた3階席以下のお客さんとは、一味も二味も違う、初めて味わった4階ならではの楽しい空気感と言えるだろう。

追記:千秋楽は歌六が復帰。芝のぶの八汐は25日までの6日間だった。

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