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過話§上京五十年~ナイテイノヨテイニ~ [私事]

大学生生活も4年が過ぎ、最後の夏休みも尾瀬の山小屋アルバイトで過ごした秋には“就活”が始まった。当時の会社訪問解禁は10月からという遅さ。年末までには就職先を決めなくてはならない、まさに短期決戦とも言えた。

第一志望は旅行会社だった。会社訪問開始から順調に面接を重ねていって、最終面接まで持ち込めたが、大学の推薦が必要なところ、力量不足もあって内定まで持ち込むことはできず、旅行会社は断念。

11月に入るとマスコミ関連が始まったので、方針転換を――日和見だね――して地方紙やら教科書会社などを受けて回ったが、それらも最終面接までで敢え無くの敗退である。

最後に残ったのは、ほとんど望み薄としか思えない一社……それが、あーら不思議。なぜか理由はわからないが、とんとんと面接をくぐり抜け、最終面接もクリアして、適性検査と健康診断に呼ばれた。

これでどうやら内定に漕ぎつけたのかと思ったら、最後に“家庭訪問”なるものがあって、総務課長が下宿を訪ねてきた。30分ほど茶飲み話をしていったが、去り際「これから会社に戻って内定の電報を送りますから」と一言。それからしばし待って電報が届いたのだが、オペレーターが電話口で読み上げた文言は……

ナイテイノヨテイニケッテイイサイフミ

……“ちょっと何言ってるかわからない”ので、再度繰り返してもらって、メモ書きし、意味を考えた結果は……

内定の予定に決定委細文

……というものだったが、いかに電文とはいえ、意味を把握するまで時間がかかってしまった。その原因は“内定の予定に決定”というあたりにあり、内定はまだ予定ですよという、何とも意味深な文面に慄いた記憶が残っているのだ。

naitei.jpg

そして年明けに“入社日通知”なる葉書が届き、めでたくも自力で飯が食える境遇になったのである。

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